《シヅ子とアルバート》

  このおじいさんとおばあさんは、あの『Simpson's Chocolate House』Simpson's Chocolate Houseについての初代オーナー夫婦です。

 シリーズ『Chocolate Time』の始まりは海棠家の双子の兄妹ケンジとマユミ→基礎知識『海棠兄妹』で、この二人が恋に落ち、濃厚な関係になるところから物語が展開していく訳ですが、そのケンジの高校にカナダからのスポーツ留学生として来日していたケネス・シンプソンケネスのプロフィールの両親がこの見るからに仲睦まじいお二人です。

 

 カナダ生まれのアルバート・シンプソン(挿絵左)は15歳の時、単身来日し大阪でチョコレート職人としての修業に勤しみます。そして21の時、働いていたスイーツ店の客として訪れた浅倉シヅ子(挿絵右 当時19歳)と交際を始めました。二人はその三年後にめでたく結婚し、シヅ子は24歳でケネスを出産。以後、この一人息子を夫と共に大切に育て上げます。

 アルバートは36歳になった年に妻子と共に母国カナダに帰国し、郷里トロントで小さなチョコレートハウスを開業します。当時10歳だった息子のケネスが水泳の才能を開花させ、中学の時にバタフライ競技の全国大会で3位入賞を果たしたことで、彼は17歳の時に国費留学生として来日、ケンジの通う高校の水泳部に一時期籍を置いていたというわけです。その時ケネスはそこで親しくなった海棠兄妹との再会を強く希望し、両親であるアルバート夫婦もその熱意に負けて日本に定住することを決意。ケンジたちの住むすずかけ町に居を構え、そこでチョコレートハウスを続けることになります。アルバート43歳、シヅ子41歳の時でした。

 その日本離れしたスイーツ店『Simpson's Chocolate House』はすぐに大評判となり、多くのリピーターを獲得してブレイク。店舗も年々拡張し、現在はすずかけ町のランドマークとして押しも押されもせぬ名店として居並ぶショップを圧倒して街の中心に君臨しています。

 

 今はアルバートもシヅ子も隠居の身。息子ケネスとその妻マユミとの間に生まれた健太郎も二代目、三代目のオーナーとして立派にこの店を継いでいます。

 

 アルバートは大のワイン好き。そのお陰でシヅ子も成人してからずっとこの赤い酒の虜になっています。結果息子のケネスも同じ嗜好に。またロマンティックな甘い恋愛物語が大好きなアルバートは、独身の時の交際中からシヅ子をそのテの映画によく連れて行っていました。そして彼はその映画のラブシーンをまねてシヅ子とのベッドタイムを楽しんでいたと言います。紳士的で優しく、本の虫だったアルバートは、知識も豊富で生活力に溢れており、ユーモアのセンスも持ち合わせたオプティミスト。そういうアルバートの魅力を知ったからこそ、シヅ子も当時の日本ではもの珍しく敬遠されがちだった異国人であったにもかかわらず、この男性に安心してついて行くことができたのでしょう。

 アルバートはシヅ子の笑顔に強く惹かれていました。彼がまだ修業中の身だった大阪の菓子店にやって来ていたシヅ子(当時彼女は短大生)のはにかんだような笑顔を見て、アルバートは心を熱くし、(実は彼目当てでその店に通っていた)シヅ子をお茶に誘ったのが二人の恋物語の始まりでした。

 

 ところが、シヅ子が短大を卒業して就職した福祉施設が名古屋にあったため、二人は遠距離の関係に。そして何とその職場でシヅ子は上司の妻子ある男性不倫の関係になってしまいます。恋人アルバートと距離的に離れてしまったことで寂しさを募らせ、その心の隙間を埋めて欲しかったシヅ子は、ふらふらとこの男性に抱かれてしまい、そのまま道ならぬ関係を続けたのです。しかしシヅ子は3か月でその男性との関係を苦しみながらも自ら断ち切り、仕事を辞めて大阪に戻り、アルバートとの関係を修復していきました。

 

★この経緯はTwin's Story 外伝 "Hot Chocolate" 第3集第2話『忘れ得ぬ夢~浅葱色の恋物語~』で描かれています。

 

 その出来事はもちろんアルバートに大きな衝撃を与えました。それは彼にとっては激しい苦痛と悲しみを伴う不幸なアクシデントでしたが、号泣しながらアルバートに赦しを乞い、激しく後悔するシヅ子をそれでも彼は優しく抱き留め、包み込みました。シヅ子が自分の元に戻り、それから自分と共に歩む決心をしたことがわかると、アルバートは以前より強くシヅ子を大切にする気持ちを抱きます。そしてこの愛しい女性と生涯を共にすることを誓ったのです。

 

若き日のアルバート・シンプソンとシヅ子

Chocolate Time 主要登場人物相関図
Chocolate Time 主要登場人物相関図

 アルバートとシヅ子は、この「Chocolate Time」シリーズ中では第0世代と言うことができます。シリーズのスタートが海棠兄妹であった関係で、レギュラーメンバーの中ではケンジ、マユミ、ケネス、それにミカを初代、つまりChocolate Time 第1世代と見なし、その子供たちの年代、龍、真雪、健太郎、春菜、修平、夏輝をChocolate Time 第2世代としているからです。それでもこの仲良しの老夫婦も「Chocolate Time」シリーズの大きなテーマである『家族』の一員であることに変わりありません。


《Chocolate Time シリーズ 10人のレギュラー・キャラクター》 


~第1世代~

海棠 ケンジケンジのプロフィール)                        シンプソン・マユミマユミのプロフィール

ケネス・シンプソンケネスのプロフィール)           海棠(旧姓:兵藤)ミカミカのプロフィール

 

~第2世代~

海棠 龍龍のプロフィール)                      海棠(旧姓:シンプソン)真雪真雪のプロフィール

シンプソン健太郎健太郎のプロフィール)     シンプソン(旧姓:月影)春菜春菜のプロフィール

天道 修平修平のプロフィール)                            天道(旧姓:日向)夏輝夏輝のプロフィール

『Chocolate Time』シリーズのおおまかな流れがわかる「Chocolate Time 総集編」はこちら

詳しい解説付きのChocolate Time 登場人物相関図もあります。

 

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2015/04/19 Simpson