Twin's Story 7 "Milk Chocolate Time"
-第2章 2《撮影会、大人の夜》-
龍と真雪はそれぞれ自転車に乗ってロッジを出た。
「気持ちいいね、マユ姉」
「うん。あんまり暑くないし、風もひんやりしてる」
真雪が前を走っていた。龍は彼女の後ろについて、彼女のペダルをこぐ長く白い脚や、こぐ度に規則正しく動くショートパンツ越しの丸いヒップを眺めてはため息をついた。「マユ姉、きれい……」
「何か言ったー?」真雪が振り向いた。
「い、いや、何も」
30分ほどこぎ続けて、二人は草原が広がる場所までやって来た。彼らは自転車を降りた。
「マユ姉、水、はい」
「ありがとう」真雪はペットボトルを龍から受け取った。
「すっごい景色」
「ほんとだね」
「身も心も解放される感じがするね」
「龍くん、素敵なこと言うね」
「マユ姉と一緒だから余計に」
「嬉しい」
「ねえ、マユ姉、ここで写真撮っていい?」
「いいよ。いつでも」真雪は自転車の前の籠に入れていた麦わら帽子を取り出してかぶった。
「いいね、夏らしくて」すでに龍はカメラを構えていた。真雪が微笑む瞬間にシャッターを押した。「何だか、すっごくかわいらしい感じだよ、マユ姉」
「そう?」真雪は思わず笑顔を作った。また龍がシャッターを押した。
「ちょっと太陽の方を向いてみて」
「こう?」
「そう、それから左手で帽子を押さえて、そう、そのまま」龍はアングルを決めて、連写した。
それから龍は真雪を座らせたり、伸びをさせたり、草の上に寝転ばせたりして、ものの数分の間に大量の写真を撮った。
「龍くん、プロみたい」
「まだまだだよ。父さんにさえ褒められたこと、滅多にないよ。でも、さすが一眼レフ。このカメラ、操作性抜群だよ。ボケ味もきれいだし」
「龍くん、」真雪が少し恥じらいながら言った。「あのさ、あたしのヌード、撮ってくれない? ここで」
「ええっ?!」
「お願い」
「こ、こんなところで?!」
「龍くんに撮って欲しい。今のあたしの全てを」
龍はもじもじして言った。「じ、実は……」
「え? なに?」
「僕もずっと前から考えてたんだ。マユ姉のヌードが撮れたらいいな、って」
「なんだ、そうだったの? 早く言えば良かったのに」
「いや、女のコにそんなこと言ったら、いっぺんに嫌われちゃうよ。普通は」
真雪は笑った。「それはそうか」
「で、でも、人が来たらどうしよう」
「大丈夫だよ。あ、」
「どうしたのマユ姉」
「ケン兄だ!」
龍は自分たちが並べてとめた自転車の方を振り向いた。健太郎が、さらに先に行った方から戻ってきているところだった。
健太郎は自転車を止めた。
「よっ! なんだ、お前たちも自転車借りたんだ」
「そうなの」
「マユの撮影会か? 龍」
「うん」
「ケン兄、お願いがあるんだけど」真雪が言った。
自転車を降りて健太郎は言った。「何だ?」
「そこでさ、見張ってて」
「見張る?」
「そう。誰か来たら、早めに教えてね」
「な、何をするつもりなんだよ」
「あたし、ヌードになるから」
「ヌっ! ヌードだって?!」
「そう」
「お、お前ら、そんなことをしにここまで来たのかよ!」
「あたしが龍くんにお願いしたの」
「まったく、お前どこまで突っ走るかな」健太郎はかぶっていたキャップを目深にして赤面した。「いいよ。わかったよ。なるべく短い時間で済ませろよ」
「うん。ごめんね、ケン兄」
真雪は着衣を脱ぎ始めた。草に座り、ショートパンツのままトップレスに麦わら帽子というスタイルで数枚、ショートパンツを脱ぎ、白いショーツ姿で数枚、そして全てを脱ぎ去り、オールヌードの写真を数枚。眩しい夏の光の中で真雪の肌は輝いていた。愛らしい茂みの柔らかなトーン、少し汗ばんだ乳房のきらめきさえ、龍は余すところなくカメラに収めたのだった。
膝を抱えて撮影現場に背を向けていたはずの健太郎は、鼻にティッシュを詰めて赤面していた。
「ごめんね、ケン兄」真雪が元の姿に戻って健太郎のところにやってきた。龍もカメラに保存された画像を確かめながらやってきた。
「まったく、なんで俺がこんなこと……」健太郎はまだ赤い顔をして二人を見上げた。
龍と真雪は健太郎の横に並んで座った。
「気持ちいいよね、広くて」真ん中に座った真雪が伸びをした。
「そうだな」健太郎も言った。「それにしても、お前ら、本当に大胆だな」
「そうかな」龍が言った。
「ま、マユの方が大胆なような気もするが」
「遺伝なのかも」
「父さんの? 母さんの?」健太郎が訊いた。
「たぶん両方」真雪が笑った。「ねえねえ、ケン兄、ママとケンジおじって、ただの兄妹じゃなかった、って本当?」
「何か勘づいたな、マユ」
「今まであの二人を見てて、あたし思うんだ。何か違うって」
「何か違う? 父さんとマユミ叔母さんが?」龍が訊いた。
「そう思わない? 龍くん」
「確かに。そう言われれば……」
「もう、お前ら自身が一線を越えてるから話してもいいと思うけど、」健太郎が語り始めた。「実はな、ケンジおじとうちの母さんは、高二の時にお互いを初体験の相手として選んだんだ」
「ほんとに?!」真雪がちょっとびっくりして言った。
健太郎はちらりと龍を見た。「龍、ショックだったか?」
「ううん。だって、昔の話じゃん」
「ま、そりゃそうだ」健太郎はちょっと拍子抜けしたように続けた。「そのつき合いは約二年半続いた」
「長っ!」龍が言った。
「だよな。兄妹で愛し合うっていう普通では考えられない状態が二年半も続いたってっから、もう驚きだ」
「でも、さすがに二人は結婚できないから、別れるしかない。しかし、そこには高二の時からずっとケンジおじの親友だったケニー父さんがいた」
「父さんの大学には、二年先輩の母さんがいたんだよね」龍が言った。
「ケニー父さんも母さんのことが好きだったから、ケンジおじは泣く泣く母さんを父さんに譲ったんだ」
「泣く泣く……か」真雪が悲しそうな顔をした。「辛かっただろうね、ケンジおじもママも」
健太郎が言った。「しかたないよ。兄妹では結婚できないからな。だけど、ケニー父さんもミカさんも二人の気持ちやそれまでの歴史、全部知ってたから、二人が時々会って愛し合うことを許したんだ」
「心が広いよね、パパもミカさんも」真雪が言った。
「何となくわかるな。母さんって、そういう人だよ」龍がちょっと誇らしげに言った。
→ケンジとマユミの関係について『Chocolate Time 基礎知識 海棠兄妹』
健太郎が空を仰いで独り言のように言った。「俺もそう思う。超いい人だよ。セクシーだし」
真雪が健太郎を見た。そして眉をひそめて言った。「なんでセクシーなのが『いい人』に繋がるのよ」
「え? あ、いや、一般論だ」
健太郎はおどおどし始めた。
「ひょっとして、」真雪が言った。「ケン兄って、ミカさんに憧れてたんじゃない?」
「あ、憧れてたよ。スクールであんなにスマートに泳げるんだからな」
「ケン兄、時々母さんをじっと見てたりしてたよね。スクールの時」龍が言った。
「あたしの予想では、」真雪が言った。「ケン兄、ミカさんに迫ったでしょ」
「な、何を根拠に?!」
「ハワイでさ、妙にミカさんに絡んでたじゃない。それに、」真雪はにやにやしながら言った。「ハワイでの二日目の夜、なかなか部屋に戻ってこなかったよね。ねえ、龍くん」
「うん。そうだったね。マユ姉と二人で、ケン兄、何してんだろうね、って話してたんだ」
健太郎は焦って叫んだ。「お、お前ら起きてたのか?!」
「夜、眠れなくて二人で話してたよね、龍くん」
「うん」
「あ、あれはだな、そ、その……」
「もういいじゃん、隠さなくても」真雪が優しく言った。「パパたちだって知ってることなんでしょ?」
「わ、わかったよ。言うよ」健太郎はまた顔を赤くして白状し始めた。「あの晩、お、俺はミカさんに童貞を捧げたんだ」
「やったー!」龍が叫んだ。「おめでとー、ケン兄!」そして派手に拍手をした。
「やっぱりそうだったんだー」真雪も言って健太郎の背中をぱんぱんと叩いた。
健太郎が大声で言った。「そ、そういう龍だって、あの晩初めて、」
「あーっ! やめてやめてっ!」龍は健太郎の言葉を遮って慌てた。
「何、なに? 龍くんどうしたの?」
「何でもないよ、マユ姉」
「お前、卑怯だぞ、俺だけに恥をかかせようったって、そうはいかないからな」
「だ、だって、恥ずかしいじゃないか」龍も負けずに赤くなっている。
「観念しろ」
龍はうつむいた。「わかったよ。いいよ。言っても」
「自分で言えよ」健太郎が促した。
「龍くん、何があったの? 聞かせてよ」
龍は真雪を上目遣いで見ながら小さな声で言った。「あ、あの晩、僕、マ、マユ姉を抱く夢、みちゃってさ、」
「えー、ホントに? あんなにちっちゃかったのに、もうそんなこと考えてたの? 龍くん」
「ゆ、夢の中でのことだよ」
「それで?」
「僕、初めてあの時し、射、射精しちゃったんだ」
「夢精だよ、夢精」健太郎が言った。「それが龍の精通だったわけだ。つまり、大人への扉を開けたってわけだな」
「おめでとう、龍くん」真雪も拍手をした。
「い、いや、その対象そのものの人から祝われるのも、何だか……」そしてぽつりと言った。「オトコって、いやらしいよね」
「それが思春期ってもんだよ」真雪は笑った。
◆
ロッジの宿泊棟に囲まれるようにして、その大きなレストランホールはあった。外はすっかり暗くなり、雲一つない空には街の中では決して見られないたくさんの星たちがきらめいていた。ホールの天井は大きなガラス張りになっていて、見上げればそんな降るような夏の星空が、まるで絵のようにホールを見下ろしていた。
7人は大きなテーブルを囲んで座っていた。各自に生野菜とオードブルとスープが配られ、グラスに飲み物が提供された。
「ミカさんはもうワイン?」健太郎が言った。
「ビールじゃないんだ」龍が言った。
「もう十分飲んだ」ミカが言った。
「朝から車の中で一本、ここに到着して一本、昼ご飯の時にジョッキ一杯、さっき風呂上がりに一本」ケンジが呆れたように言った。「去年のようにべろべろになるなよ。頼むから」
「わかってるよ。それに、今夜は若いコを相手にしなきゃいけないんだ。気を確かに持っておかなきゃ」
「若いコ?」真雪が訊いた。
「気にするな、真雪」ミカは笑った。
「たぶんケン兄だよ、マユ姉」隣に座った龍が真雪に囁いた。
「えっ?! もしかしてケン兄、去年のあれから、ミカさんと続いてるの?」真雪も龍に囁き返した。
「そうらしいね」
真雪は上目遣いで何か考えている風だった。
「どうしたの? マユ姉」
「え? いや、ケン兄、最近好きな人に告白する前に破れちゃったんだよね……」
「そうなの?」
「うん」
「傷心のケン兄か……ちょっと同情しちゃう」
「ミカさんが慰めてくれる、ってことかな」
健太郎は彼らの向かいのミカの横に座って落ち着かない風情だった。
「どうしたんや? 健太郎。顔が赤いで。それに妙に緊張してへんか?」真雪の隣に座ったケネスが言った。
ミカの隣のケンジが言った。「だいたい原因はわかるぞ、俺」
「え? 何? なに? どうしたんや?」
「何かあったの?」ケネスの横のマユミも言った。
「牛の乳搾りの時に、龍に真雪へのノロケを聞かされた後、」ケンジが説明し始めた。「龍に無理矢理風呂に連れて行かれて真雪のハダカを見せられ、」
「へえ!」ケネスがにやにやしながら言った。「まだあるんか?」
「とどめは、真っ昼間の草原での真雪の撮影会につき合わされた」
「わっはっは、龍と真雪に振り回されっぱなしやった、っちゅうわけやな」
「なに? もうすでに限界か、健太郎」ミカが隣の健太郎の肩に手を回した。
健太郎は小さくこくんとうなずいた。
「よしよし」ミカは大きくうなずいた。
「事情を知らなかったとは言え、僕たち、ケン兄を刺激しすぎたかも」龍が申し訳なさそうに言った。
「そうだね……」真雪も小さなため息をついた。
テーブルの中央に巨大な牛肉の塊が登場した。
「すげえ!」龍が叫んだ。
「これがここのメインディッシュよ」マユミが言った。
「よし、切り分けよう。さあ言え、どれくらい切って欲しい?」ケンジが立ち上がり、大きなサービスフォークとナイフを手に持って言った。
「僕3センチ!」
「あたしは1センチぐらいでいいな」
「健太郎は?」
「お、俺、少しでいい。あんまり食欲ない」
ぱしっ! 「ばか!」ミカが健太郎の後頭部を平手でひっぱたいた。
「な、何するんだよ、ミカさん」健太郎はひっぱたかれた後頭部をさすりながらミカを睨んだ。「痛いじゃないかっ!」
「スタミナつけておかなきゃ、息切れするぞ!」
「ほんま、ミカ姉は言い方が露骨やな。相変わらずロマンティックなムードからはほど遠い」ケネスが笑いながらビールをあおった。「龍を見てみい。今夜のためにもりもり食っとるやないか」
「そうよ、健太郎、遠慮しないで食べなよ」
「なにが『そうよ』なんだよ、母さんまで……」
「5センチの厚さぐらいに切ってやって、ケンジ」
「わかった」
「滅多に食べられないんだぞ、こんな牛肉」
「わかったよ、もう!」健太郎はフォークとナイフをひっつかんで、ケンジがどかんと皿に載せたその肉をがつがつと口に入れ始めた。
◆
『メイプル』の部屋の二つ並んだベッドのうちの一つに健太郎は黒いショーツ姿で座っていた。ミカは黒いブラジャーとショーツ姿で部屋の外のテラスに立って髪を乾かしていた。
「健太郎」ミカが中の健太郎に声を掛けた。
「な、何? ミカさん」
「こっちに来いよ」
「う、うん……」健太郎は立ち上がってミカのいるテラスに出た。
「なに緊張してるんだ? 初めてでもないのに」
「お、俺、もうはち切れそう……」健太郎はミカの身体を後ろから抱きしめた。そして立ったまま自分の膨らみをミカのヒップに押しつけた。
「まだ彼女できないのか?」
「好きな子はいた。でも告白する前に失恋した」健太郎は押しつけたものをミカのヒップの谷間にこすりつけながら言った。「親友の修平が先にゲットした」
「親友が恋のライバルだったってか?」
「不幸なことにね。でも、破れるのが早かったのは幸い。傷が浅くて済んだからね」
「お前も、大人になったじゃないか」
「ミカ先生のお陰ですよ」健太郎は笑った。
「じゃあ、あたしが失恋の傷を癒してやろう」
「恐れ入ります」
ミカは振り向いて軽くキスをして言った。「それと同時に、お前の身体の火照りを鎮めてやるよ。あたしじゃ満足しないかもしれないけどね」
「とっ! とんでもない! 俺、ミカさんに抱かれると、癒される。本当だよ。この前、ミカさん家で抱いてくれた時も、俺、とっても癒された」
「セックスをそう思えるようになったら一人前だよ。健太郎。でも、」
「なに?」
「お前さっきから『抱かれる』って連発してるけど、お前があたしを抱くんだろ? 勘違いするなよ」
「実際はそうかもしんないけど、俺、気持ちの上ではミカさんに抱かれてる。ミカさんの方が広いから。何もかも」
「そうか。嬉しいね」ミカはまた自分の唇をそっと健太郎の唇に重ねた。健太郎も応えた。
彼はミカの背中に手を回し、ブラのホックを外した。ミカの豊かな二つの乳房がこぼれた。ブラを腕から抜き去った健太郎は身をかがめてその乳房を吸い、手でもう一つをさすった。「ああ、け、健太郎、あたしも、今日は早いみたい……」
ミカは手を健太郎の股間に伸ばした。そしてショーツ越しに膨らみを手のひらで包み、ゆっくりと揉み始めた。
「う、ううっ! ミ、ミカさん……」
一つのベッドに二人は全裸で倒れ込んだ。仰向けになった健太郎にミカは覆い被さり、腕を押さえつけながら彼の唇を吸った。「んんん……」健太郎は呻いた。すでに彼のペニスは大きく脈打っていた。それを手で掴んだミカは、口を持っていって深く吸い込んだ。「うあっ!」健太郎が仰け反った。ミカは口を上下に動かし始めた。
「ミ、ミカさん! イ、イっちゃう! お、俺だけイっちゃうよっ!」
ミカは健太郎の腰をぎゅっと強く抱きしめた。
びゅるるっ! びゅくっ! びゅびゅっ! 強烈な勢いで、精液がミカの口中に発射され始めた。びゅっ! びゅびゅっ! 喉の奥に弾丸のように打ち付けられる健太郎の精をミカは口を動かしながら受け止めた。
はあはあはあはあ……。肩で息をしている健太郎を見下ろし、ミカは口の中の精液を本人の腹に吐き出し、舌で塗りつけた。
「ミ、ミカさん……」
「見てみろ、お前こんなに出したんだぞ」ミカは笑いながらそれを今度は手のひらで塗りつけ始めた。「相当たまってたな」
「ごめんなさい、また俺、ミカさんの口の中に出しちゃった……」
「だから平気だって。もちろんまだイけるだろ? 健太郎」
「うん。さっきスタミナつけたからね」健太郎はウィンクをした。
「よし。じゃあ、今度はあたしが下になる。最高に気持ち良くしてくれよ」
「わかった」
健太郎は身を翻してミカに覆い被さり、口を自分の口で塞いだ。舌を中に差し込み、彼女の歯茎や舌を舐めた。ミカの口の中に残っていた青臭い自分の精液の匂いに、健太郎は妙に興奮し始めた。
彼は口を耳たぶ、首筋、鎖骨、乳房と移動させた。そして両方の乳首を交互に舐め、吸った。「あああ……健太郎……」ミカの身体はもう十分に熱くなっていた。
健太郎の舌がクリトリスを捉えた。「うっ!」ミカの身体がびくん、と跳ねた。彼の舌はすでに十分に潤っている谷間とクリトリスの間を往復した。
「け、健太郎、あ、あああああ……。も、もう入れて、あたしの中に入って」
健太郎はその言葉に応えた。ミカをうつ伏せにさせ、腰を持ち上げてベッドの上に四つん這いにさせた健太郎は、自分のペニスを右手で掴んだ。「ミ、ミカさん、いいの? そのままで」
「だ、大丈夫。今は。だから早く、健太郎、早くあなたのものを入れて、あたしに入れて!」
健太郎はペニスの先端をミカの谷間に触れさせたかと思うと、間髪をいれずにぬるりと奥まで挿入した。
「ああっ!」ミカが大声を出した。「いいっ! 健太郎、動いて、動いて! 激しくっ!」
健太郎は腰を大きく動かし始めた。
「ミ、ミカさん、ミカさんっ!」
ぱんぱんと健太郎の身体がミカのヒップを責める大きな音が部屋中に響いた。
「あ、あああ! も、もうすぐ、イ、イく! あたし、イくっ!」ミカが激しく身体を揺すり始めた。
出し抜けに健太郎はペニスを出し入れしながらミカの身体を回転させ、仰向けにした。そして正常位でさらに激しく腰を動かした。「んっ、んっ、んっ!」健太郎は苦しそうな表情で額に汗を滲ませてミカの秘部を何度も貫いた。その度にミカは身体を大きく震わせ、喘いだ。「け、健太郎、イ、イくっ! イくーっ!」
「お、俺もっ! ミカ、ミカっ!」
出し抜けに健太郎がミカの左肩に歯を立てた。「うっ!」ミカが呻いた。そしてその次の瞬間、彼女の身体がひときわ大きくエビぞりになってがくがくと震えた。「あああーっ!」びくん、びくん……ミカの身体が激しく脈打った。
びゅ……くっ!
健太郎の身体もひときわ大きく脈打った。「でっ! 出るっ!」「あああああーっ!」
びゅるるっ! びゅくっ! びゅくっ! びゅくびゅくびゅくびゅく! 「ぐうううっ!」健太郎が喉の奥から呻き声を上げた。
健太郎の中から湧き上がったエキスは、何度もミカの身体の奥深くに打ち付けられ続けた。
はあはあはあはあ……。ミカの身体からは力が抜け、汗だくのまま呼吸だけ激しく繰り返されていた。
健太郎は汗のつぶがびっしりとついたミカの乳房に顔を埋めた。頬にぬるぬるとミカの乳房がこすりつけられ、健太郎の息が収まるのを長引かせた。
「健太郎、お前やっぱりケンジの子だな」
健太郎は身体を起こした。「え?」
「キスから最後までいくプロセスが、ケンジとほぼ同じ。教わったのか? ケンジに」
「ううん。自発的な行動だけど」
「染色体は嘘をつかないね。あたし、途中で『ケンジ』って叫ぶとこだったよ」ミカは笑った。
「叫んでも良かったのに。ミカさんの愛する人の名前なんだから」
「生意気言いやがって」ミカは健太郎の頭を小突いた。「ただ、一つ、違っていたのは、」
「え?」
「お前、ケネスに何か吹き込まれただろ」
健太郎は目を泳がせ始めた。「な、何のこと?」
「あたしが噛みつかれて興奮すること、知ってたんだろ?」
「お、俺が大人になるための知識、ってもんだよ」
「また生意気言ってやがる」
◆
『ポプラ』の部屋のベッドでは、脚を伸ばした全裸のケネスが黒いTバックショーツだけを身につけたマユミを後ろから抱きかかえていた。
マユミの前にひざまづいてその乳房をケンジが吸い、片方を柔らかく揉んでいた。「あああん、」マユミは愛らしい声を上げた。
やがてケンジの唇が彼女の腹部を伝ってショーツにまでたどり着いた。後ろのケネスが今度はマユミの二つの乳房を手で包みこみ、ゆっくりと揉み始めた。「んっ!」マユミは苦しそうに呻いた。ケンジの舌がショーツの隙間から中に侵入してきたからだ。
ケンジはマユミのショーツに手を掛け、ゆっくりと脱がせた。そしてあらためて彼女の秘部を舌で味わった。ケネスに乳房を愛撫され、その快感が倍増していたマユミはどんどんとその身体を熱くしていった。「ああ、ケニー、ケン兄、いい、いいよ、ああああ……」
ケネスがその行為をずっと続けている間に、ケンジは自分のショーツを脱ぎ去った。「入れるよ、マユ」
「うん。来て、ケン兄」
ケンジはゆっくりとペニスをマユミに埋め込み始めた。「ああああ、ケン兄、ケン兄!」
ケンジは腰を動かし始めた。
「ケニー! あなたのも、ちょうだい、咥えたい、あなたのを」
ケネスはマユミから身を離した。ケンジはマユミの身体を四つん這いにさせ、そのまま腰を動かし続けた。
「ケニー、早く、あなたのを……」
ケネスはマユミの両頬に手を当てた。そして自分の大きく天を指したペニスを彼女の口に近づけた。マユミはそれを一気に頬張った。「う、ううっ!」ケネスが呻いた。マユミは口を前後に激しく動かし始めた。「んっ、んっ、んっ!」
「あ、ああああ、ハニー、ええ気持ちや!」
「マユっ!」ケンジが大きく喘ぎ始めた。「マ、マユっ! お、俺、もうすぐ……」
「んんんんっ」マユミはケネスのペニスを咥えたまま大きくうなずいた。
「イ、イくっ! いくっ! マユ! マユっ!」びゅるるっ! びゅくっ! びゅくっ! ……。
マユミはケネスのペニスを解放した。「ああああっ!」そして大声を出した。「あ、あたしもイってるっ! ケン兄っ!」びくびくびくっ! マユミの身体が震えた。そしてまたケネスのペニスを咥えた。
ケンジのペニスがマユミから抜かれた。すぐにマユミは、仰向けになったケネスに馬乗りになった。ケネスは苦しそうに喘いでいる。「ケニー、すぐイかせてあげるね」マユミはそう言って今まで咥えていたケネスのペニスを手で自分の秘部に導き、一気に腰を落とした。「うああっ!」ケネスが叫んだ。
「ケン兄、抱いて! 後ろから、あたしを抱いてっ!」
ケンジは言われたとおりにケネスに馬乗りになったマユミを後ろから抱きしめた。
マユミは前に倒れ込んだ。そしてケネスと胸を合わせた。ケンジはケネスに貫かれたマユミの秘部に、再び大きくなった自分のペニスをあてがった。
「マユ、入れていい?」
「いいよ、ケン兄、入れて」
ケンジはゆっくりとマユミの露わになった谷間に入り始めた。すでにケネスのものを咥え込んでいるマユミの秘部はそうしてついに二つ目のペニスを受け入れたのだった。
「あああああああーっ! 熱い! 熱いっ! ケニー、ケン兄!」
ケンジが腰を動かし始めた。ケネスも腰を上下させた。マユミは激しく喘ぎながら上半身をのたうち回らせた。「いいっ! 二人とも、イって! あたしの中でイってっ!」マユミが大きく叫んだ。
「で、出るっ! 出るっ!」ケネスが叫んだ。びゅくっ! 「あああああ!」ケンジが身体を硬直させた。「お、俺も、イく!」
びゅるるっ! びゅくっ! びゅくっ! びゅくびゅく! ケネスの射精が本格化した。
「出るっ!」ケンジが叫んだ。びゅるるっ! びゅくっ! びゅくびゅくびゅくっ!
「あああああっ、イっちゃうーっ!」マユミも叫ぶ。「ああああああっ!」
びゅるっ! びゅくびゅくっ! びゅるるっ! びゅくっ! 大きく脈動し続ける二つのペニスから大量の精液が同時にマユミの体内に放出された。
一つになった三人の身体は長い時間、激しく喘いでいた。