Twin's Story 1 "Chocolate Time"

"Chocolate Time" 《第1章》双子の兄妹 1-1無防備 1-2兄妹 1-3初めての感覚 1-4禁断の時

 《第2章》秘密の恋人 2-1恋人同士 2-2デート 2-3大好きな人

《第3章》揺れる想い 3-1すれ違い 3-2理解者 3-3雪解け

2-3 大好きな人

 

「今日もさ、ケン兄、」夕食の時にマユミはケンジに囁いた。

「ん?」

「あたしの部屋でチョコレートタイムしようよ」

「わかった。風呂から上がったら行くから」

 

 二人を見て、母親が思いきり怪訝な顔で言った。「二人で、何ひそひそ話してんの?」

「え? 別にいいだろ」

「朝からも言ったけど、あんたたち、ほんとにそんなに仲良しだった?」

「別に普通でしょ? ママ。兄妹だったらこんな事」

「普通かしら……」

「普通だよ」ケンジも言った。

「二人だけで街でデートする高校生の兄妹なんかいないわよ」

 

「ごっそさん!」ケンジは食器を持って立ち上がった。「じゃ、俺、風呂に入るから」

「はいどうぞ」母親は無感情な抑揚のない返事をしてケンジの背中を見送った。

「あたしも」マユミも立ち上がった。母親は彼女の背中も無言のまま見送った。

 

「あなたどう思う?」母親は隣で片身を食べ終わった焼き魚をひっくり返していた夫の顔を見た。

「どうって?」

「あの二人」

「いいんじゃないか。ケンカするより」

「そりゃそうだけど……。なんか、兄妹っていうより、恋人同士って雰囲気さえ感じるんだけど……」

「勘ぐり過ぎだ」

 母親は小さく肩をすくめて、テーブルに置かれたドレッシングを手に取った。

 

 

「マユ、俺さ、おまえのショーツ、こっそりずっと隠し持ってた」

「気づいてたよ。一枚なくなってたの。でも、それって洗濯の時になくなっちゃったんだ、って納得してた」

「そうなんだ」

 

 マユミの部屋で二人は下着姿のまま語らっていた。ケンジは手にコーヒーのカップを、マユミはいつものチョコレートをつまみながら。

 

「でもつい最近、そのショーツをケン兄が持ってる事を知った」

「え? ど、どういう事だ?」

「あたし、見たもん。ケン兄があたしのショーツに鼻を押し付けながら一人エッチしてるの」

「えっ!」ケンジは赤面した。「み、見たのか?」

「うん。こっそり見ちゃった。偶然だけどね」

「ぐ、偶然?」

「夜中、物音がして目が覚めて、こっそり覗いたんだ」

「そ、そうなのか……。け、軽蔑しただろ? その時」

「ううん。だってケン兄オトコだもん。しかもそういう年頃だし」

「そ、そりゃそうだけど……」

「エッチに飢えてるんだ、って思った。でもそれって当たり前でしょ? 高二なんだし」

「ご、ごめん。マユのショーツ、勝手に使っちゃって……」

「その時は、それがあたしのだって気づいてなかったけどね。でも今思えば、何だか嬉しい」

 ケンジは照れたように頭を掻いた。

「でもさ、ケン兄は、それがあたしのじゃなくても興奮してた?」

「今となってはそれは……わからない……」

「違うコの下着でも興奮してたのかな?」

「……たぶん」ケンジはうつむいた。

 

「そうだよね。男のコってきっとそうなんだよね」

 ケンジは慌てて顔を上げた。「でっ、でも、俺、おまえの着替えてる姿を見て、マユを抱きたい、マユじゃなきゃだめだ、って思ったんだ」

 マユミはクスッと笑った。「それって、単純にあたしが隣に住んでたから、ってだけなんじゃない?」

「違うね」ケンジは少しムキになって言った。

「ほんとに?」

「二目惚れ、ってあるだろ?」

「何それ。あたし聞いた事ないよ、『二目惚れ』なんて」

「初めて会ったわけじゃないのに、何かのきっかけでいきなり燃え始めるって事だよ」

「あたしたち生まれてからずっと一緒なのに?」

「それまでただの友だちだった相手を急に好きになる、って事だよ。あるだろ? そういう事」

「確かにね。ケン兄はあたしにその『二目惚れ』だったんだね」マユミは微笑みながらカップを持ち上げた。「嬉しい……」

 

 

「マユ……」ケンジは優しくマユミにキスをした。マユミはケンジの背中に腕を回した。そしてそのまま二人は柔らかなカーペットの上に倒れ込んだ。

「ケン兄、横になって」

「マユは上になるのが好きなのか?」

「ううん。今日は……」マユミはそう言いながら、仰向けになったケンジの黒い下着の膨らみに手を当てた。

「マ、マユ?」

 ケンジのその部分はすでに大きく硬く怒張していた。マユミはおもむろにケンジの股間に顔を埋めた。

「マユっ!」ケンジは頭をもたげ、慌てた。

 

 マユミは彼の下着を一気に脱がせ、飛び出して跳ね返ったそれに舌を這わせ始めた。

 

「だ、だめだ! マユ、やめろ!」ケンジは上半身を起こし、真っ赤になって叫んだ。

 

 上目遣いにケンジを見上げたマユミは言った。「オトコの人ってこういう事されたいんでしょ?」

「む、無理しなくていいよ。マユはそんな事しなくてもいいから」

「えー。気持ち良くしてあげたい。ケン兄を。昨夜あたしにもしてくれたじゃん。同じような事」

「い、いいよ、マユ、お、俺、おまえにそんな事されなくても、ああっ!」

 マユミはケンジの制止も聞かずその大きなペニスを咥えた。そして口を前後に動かし始めた。

 敏感になった先の部分にマユミの歯が少し当たって、ケンジはじりっとした痛みをそこに感じた。

「う、ううっ! だ、だめだ……マ、マユ……」

 

 マユミが舌を使ってその先端を舐め始めた時、

「あ、ああっ! マユ、マユっ! やめてくれっ!」ケンジはとっさにマユミの口から自分のペニスを引き抜いた。そして膝立ちになり、自分の手でそれを握りしめると、「ぐっ!」と言って身体を仰け反らせた。

 ケンジが慌てて両手で自分のペニスを包みこんだ瞬間、

 

 びゅるっ! びゅくびゅくびゅくびゅく!

 

 ケンジは自分の手の中に激しく精を放ち始めた。彼の指の隙間からはぼたぼたと白い液が床に大量に垂れ落ちた。

 

「も、もう、ケン兄。なんで抜いちゃうの? あたしの口の中に出せばいいのに……」

「ばっ! バカ言うな! そ、そんな事できるわけないだろっ!」

 ケンジは慌ててベッドの枕元に置いていた箱からティッシュを数枚手に取り、どろどろになった自分の手で床に溜まった自分のまだ温かい液を拭き取った。

「なんで?」

「おまえにそんな事させたくない。おまえはAV女優じゃない」

「え? なんでこれがAV?」

「だ、だって、AVでしかやんないだろ、そんな事。それに、こんなどろどろしたの、おまえの口に出せるわけないよ」

 

「もしかしてケン兄、AVも隠し持ってるんだ」

「そ、そりゃあ、俺もオトコだからな。DVDの一枚や二枚……」

「今度見せて。あたしも研究したい」

「研究? 何を?」

「どうすればオトコの人が気持ち良くなるのか」

「いや、あれは演技であって、虚構の世界だから」

「ケン兄のためにいろんなテクニック身につけたいし。それに、ケン兄の持ってるAVだったら、ケン兄の好きなテクニックでイかせたりイかされたりするんでしょ? あたし、ケン兄にもっと気持ち良くなってほしいもん」

「あのな、マユ、オトコってのは、キホン射精すればいつでも気持ちいいもんなんだ。だから逆に俺がおまえをどうしたら気持ち良くできるかって事を、俺が考えるべきなのであって、」

 ケンジが真っ赤になって熱弁している言葉をマユミはあっさり遮って言った。「あたし、キホンケン兄に抱かれるだけで気持ちいいもん」

「う……」

 

「じゃあさ、AVみたいにケン兄、あたしを相手にやってみてよ」

「えっ?!」

「女優さんをイかせるテクニックを再現してみて」

 ケンジは目を輝かせた。「よ、よしっ! 任せろ、マユ」

 彼は焦ったようにマユミの背中に腕を回して、ブラのホックを外し、するりと腕から抜き去った。

「あはは。俄然張り切りだしちゃったね。ケン兄」

 

 マユミはその場に横たわった。コーヒーカップとチョコレートの載ったトレイを脇にどけて、ケンジはその白く柔らかな身体に自分のカラダを重ねた。

「マユの身体って、ほんとにいい匂いがする……」

「そう?」マユミは恥じらったように頬を赤らめた。

 

 それからケンジは、マユミの背中に腕を回し、自分の口で彼女の唇を吸い、舌で舐め、時折その舌を口の中に差し入れた。ぴちゃぴちゃと音を立てながらケンジはマユミのマシュマロのような唇を味わい続けた。「ん、んん……」マユミは恍惚の表情で応えた。

 

「AVって、こんなキスするんだ……」

「ちょっとやりすぎ……かな」

「そんな事ないよ。とっても気持ちいい。うっとりしちゃう」

「そうか。良かった」

 

 やがてケンジは唇を移動させた。首筋、鎖骨、そして乳房へ。左手で彼女の右の乳房をさすりながら、左の乳首を口で捉えた。そして舌でそれを転がした。

「あ、あああ、ケン兄。いい気持ち……」

 背中から右手を移動させ、彼はマユミのショーツの中に指を忍び込ませた。そして柔らかく温かな谷間に中指を挿入させた。「あ、ああん……」ゆっくりと奥まで指を入れたり、クリトリスにそっと触れたりした。マユミの息が荒くなってきた。胸が激しく上下し始めた。

 

 ケンジは優しくマユミのショーツを脱がせると、さっきマユミが自分にしてくれたように彼女の股間に顔を埋め、舌を使ってクリトリスと谷間を愛撫した。マユミの身体は火照り、びくんびくんと反応し始めた。

「ああ、ケン兄、ケン兄、身体が熱い、熱くなってる」

 ケンジはその行為を続けた。マユミの谷間から熱い雫が溢れ、カーペットにしたたり落ち始めた。

 

「あ、ああ、ケン兄、来て、あたしの中に来て!」マユミが喘ぎながら叫んだ。

 ケンジはすでに大きく怒張して反り返っているペニスをマユミの谷間に宛がった。

 

「中に、入るよ、マユ」

「早く来て、ケン兄、早く繋がりたい! お願い!」

 んっ! ケンジは勢いをつけて腰を前に突き出した。

「ああっ!」マユミは思わず叫んだ。

 

 ケンジはゆっくりと動いた。それをしばらく続けた後、マユミの身体を横に回転させ、ペニスを抜く事なく後ろ向きにした。四つん這いになったマユミをバックから攻め始めたケンジはだんだんと絶頂が近づくのを感じ始めた。

「マ、マユ……」

「ケン兄、イっていいよ。あたしの中で、イっていいよ」

 

 ケンジは激しく腰を前後に動かし始めた。

 

「ああっ! ケン兄! なんか違う、昨日と違う……気持ちいい、どうにかなりそう! ああああっ!」

 マユミの身体がびくびくと痙攣し始めた。ケンジはさらに大きく腰を動かした。ぱんぱんと二人の身体がぶつかり合う音が部屋に響いた。「うううっ、ううう!」ケンジは呻いた。

 マユミは全身を揺らしながら叫ぶ。

「ケン兄! あたし、ああああ! ケ、ケン兄、イって! イって!」

「ああああっ! 出、出る、出るっ!」ケンジも叫んだ。「イくよ、マユ、マユっ! ぐううっ!」

 

 びゅるるっ! びゅるっ! びゅくっ! びゅくっ、びゅくびゅくびゅく!

「あああーっ! ケン兄ーっ!」「マ、マユーっ!」

 

 

 ケンジの胸に顔を埋めたまま、マユミは静かに言った。「ケン兄は、どんなポジションが好きなの?」

「え? ポ、ポジション?」

「そう。最初は向かい合って、その次はあたしが上で騎乗位……だっけ? それにさっきの後ろからの。どれが好きなの?」

「マユが相手なら、何でもいい」

「そうじゃなくて、やっぱり気持ち良さが違うんでしょ? ポジションが変われば」

「だから、オトコと言うのはだな、マユ、射精する時強烈な快感を感じるようにできていて、ポジションがどうあれ最終的に射精できれば単純にそれでいいわけで、」

 マユミが遮って言った。「じゃあ一人エッチでも同じって事?」

「えっ?」

「だって、そういう事なんでしょ? 射精しさえすれば気持ちいいんなら」

「そ、それは違う。違うぞ、マユ、お、俺はおまえを抱いてイくのと、一人で妄想して射精するのとでは感じ方が全然違う」

「いや、ケン兄、さっき言った事と矛盾してるから」

 

 ケンジは穏やかな口調で言った。「ほんとなんだ。マユ。俺、マユとエッチするようになって、本当の気持ち良さがわかったんだ」

「本当の気持ち良さ?」

「大好きな人の温もりだとか、吐息だとか、肌の柔らかさだとか匂いだとかを直接感じる気持ち良さ」

「大好きな人?」

 

「そう。マユ、おまえだ」

「ケン兄……」

 

「だから時には出さなくてもおまえを抱いているだけで心地よくて堪らない時もあるんだぞ」

「そっか、だからポジションはあんまり関係ないんだね」

「そういう事」ケンジはマユミをそっと抱きしめた。

 

「マユ、」

「なに?」

「俺がおまえに入っていく時、まだ痛いか?」

「ううん。もう痛みなんて全然感じないよ」

「そうなのか?」

「とっても気持ちいい。それだけしか感じない」

 ケンジは嬉しそうに笑った。「良かった。でもさ、俺、あれから毎晩おまえを抱いて、イかせてもらってるけど、」

「そうだね、今日で三日連続のエッチだね」

「おまえは、その、イ、イけてるのか?」

「うーん……。どういうのをイくって言うのかわからないけど、何か気持ち良さが自分でコントロールできなくなって、カラダの中から何か熱いモノが弾け出しちゃうような感じ……かな」

「そんな感じなんだ……」

「うん。ケン兄は?」

「俺? 俺は、急速に腰の辺りが痺れ始めて、その瞬間、カラダが浮いたような、どこかに持ってかれるような、そんな感じ」

「そうなんだ」

 

「オトコはさ、だいたいいつも射精すればそんな感じになれるけど、女のコはいつもそうってわけじゃないんだろ?」

「あたしもさっき初めてそんな感じになったんだけど、でもね、大好きなケン兄が一生懸命になってあたしの中で動いている、っていう事が、とっても気持ちいいんだよ。心理的な快感っていうかさ。それは初めての時から感じてた」

「そうなのか……。何だか、申し訳ないな……」

「どうして? あたし満足だよ。それに今日は、カラダの快感炸裂しちゃったからね」マユミは微笑んだ。

「マユ……」

「もうケン兄とのエッチは、心も身体もあたし病みつき」

「良かった……」ケンジはマユミの身体を優しく抱きしめた。「俺も、おまえの中にいる時は、心から癒されるし、イく時の快感も、一人でやってた時とは比べものにならないぐらい強烈なんだ」

「嬉しい」マユミもケンジを抱き返した腕に力を込めた。

「マユ……」

 

「あ!」

 マユミが小さく叫んだ。

「どうしたんだ?」

「ご、ごめん、ケン兄」

 マユミは身体を起こして、枕元のティッシュを慌てて数枚取ると、自分の秘部に当てた。

 ケンジも身体を起こした。「マユ?」

 マユミは恥ずかしげにケンジの顔を見た。「始まったみたい……」

「始まった? 何が?」

「今月の生理」

「生理……そ、そうか!」

 

 マユミは慌てて部屋を出た。そして二階のトイレに入っていった。

 

 マユミが部屋に戻ってきた時、ケンジはベッドの上に正座をしていた。

「マユ……」ケンジは泣きそうな顔で前に立ったマユミを見上げた。

「ど、どうしたの? ケン兄」マユミはベッドに腰掛けた。

「お、俺、おまえの中にずっとそのまま出してた」

「そうだね」

「おまえを妊娠させるかも知れない、なんて、考えてなかった……ごめん、マユ」ケンジはますます申し訳なさそうな目をした。

「結果オーライだよ」マユミは笑った。「って言うか、あたし、ちゃんと解ってたから。今は安全だって」

「解ってた?」

「だって、もうすぐ生理が来る頃だ、って知ってたもん」

「そ、それがどうして安全なんだ?」

「排卵が終わって、しばらくしてから生理までの間は妊娠しないんだよ」

「そうなのか? 初めて知った」

「今が丁度その時期だったってわけ」

 マユミは柔らかく微笑んだ。

「ごめん、マユ。そんな事何も知らずに突っ走っちゃって……」

「あたしこそ、ごめんね。余計な心配させちゃったね。これからあたし、ケン兄にちゃんとその事教えるね」

「うん。そうしてくれると助かるよ……って言うか、俺がゴム付けてやればいいのか。今さらだけど……」

「そうだね。でも、ケン兄持ってないでしょ?」

「うん」

「どうやって手に入れるの? それ」

「やっぱり自分で買うしかないんだろうな……」ケンジは困った顔をした。