Twin's Story 5 "Liquor Chocolate Time"

目次ページ1.遠距離 - 2.揺れる心 - 3.それぞれの誕生日 - 4.決心 - 5.最後の夜 / 6.赦し - 7.懐古 - 8.思い出と共に

《3 それぞれの誕生日》

 

 今年も12月1日がやってきた。マユミは一人、部屋でベッドに腰掛けていた。小さなフォトブックをそっと開けてみた。写真の中でケンジがコーヒーカップを片手に微笑んでいる。ビーチでマユミと肩を組んでケンジが赤くなっている。ケネスの家での誕生日パーティで、暖炉を背に三人で写っている写真の中で、一人だけケンジが目をつぶってしまっている。

 

「ケン兄……」マユミはその写真の中の動かないケンジの身体に人差し指をそっとあてた。「寂しい、寂しいよ……」

 マユミはケータイを取り出してボタンを押した。何度かの呼び出し音の後、『おかけになった電話は電源が切られているか、電波の届かない……』というメッセージが流れ始めた。マユミは電話を切った。彼女は別の番号のボタンを押した。

「おお、マーユ、誕生日おめでとうさん。今電話しよう、思てたところや」

「ケニー、今から行っていい?」

「ええで、」電話の向こうでケネスはマユミの沈んだ声に反応した。「どないしたん? マーユ」

「すぐ行くから、待ってて」マユミはそれだけ言って電話を切った。

 

 

 ケンジは一人、アパートの部屋の真ん中に座り込んでいた。小さなフォトブックを恐る恐る開いた。ケンジの部屋でチョコレートを頬張っているマユミがいる。ビーチで水着姿のマユミがピースサインを作って笑っている。ケネスの家でマユミがケーキを食べながら幸せそうな顔をしている。

 

「マユ……」ケンジは小指の先で、冷たい写真の表面をなぞった。「誕生日、おめでとう、マユ……」

 ケンジはケータイを手に持つと、ボタンを長押しして電源を落とした。そしておもむろに立ち上がり、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、その場でプルタブを開けた。

 

 

「マーユ……」ケネスがやってきたマユミを出迎えた。

「ケニー、ごめんね、いきなり来ちゃって」

「かめへん。さ、中に入り」ケネスはマユミを離れの部屋に招き入れた。

 

 暖炉に火がぱちぱちと燃えていた。白い絨毯が少しオレンジ色に染まっていた。そして広いテーブルの上にピザとチョコレートケーキが置かれていた。

 

「急いで間に合わせたんやけど、ごめんな、気きかせられへんで。ちょっと両親今忙しくてな、てんやもんやけど、めっちゃうまいピザなんやで」

「うん。ありがとう。ケニー。ごめんね、ごめんね……」

「ケーキは、わいの初挑戦や。後でマーユんちに届けよ思てたところや。あんまりデキはようないけどな」

「ううん。すごいよ、ケニー。あたしのために……」

「大好きなマーユのこと考えながら、一生懸命作ったんや」ケネスは笑った。

 

「ケニー……」マユミはケネスの目をじっと見つめた。「あ、あたし……」

 

「マ、マーユ……、ピザが、冷めてしまうで……。早よ……食べんと、」ケネスがそこまで言った時、マユミはいきなりケネスに抱きついて、唇を無理矢理合わせた。「む、むぐっ!」ケネスは驚いて目を見開いた。マユミはなかなか口を離そうとはしなかった。ケネスの身体が熱くなってきた。ようやく唇を離したマユミは、ケネスの胸に顔を埋め、背中に手を回してきつく抱きしめた。

「マ、マーユ……」

「ケニー、ケニー、あ、あたしを抱いて、お願い……」

「そ、そんなことできへん、マーユにはケンジが、」

「ケン兄の名前を口にしないで! お願い、ケニー、抱いて! 切ないの、あたし、切なくて壊れそうなの」

 

 ケネスはそのまま長い時間身動きせず、唇を噛みしめていた。やがて彼は決心したようにマユミの身体を抱き返し、ゆっくりと横たえた。

 

 彼が着衣を脱がせている間中、マユミは固く目を閉じ、顔を背けていた。マユミをショーツ一枚の姿にしてケネスは自分の衣服を脱ぎ、黒いビキニの下着一枚になった。

「マーユ、ほんまに後悔してへんか?」

「来て、ケニー、大丈夫。大丈夫だから……」マユミはずっと目を閉じたままだった。

 

 ケネスはマユミに優しく、そっと口づけをしたあと、唇を彼女の首筋、鎖骨、そして柔らかな乳房に這わせていった。「あああ……」

 ケネスはマユミの両脚を静かに開くと、おもむろに彼女の秘部に顔を埋め、鼻と口をこすりつけ始めた。「ああ、あああっ、ケン兄……」ケネスはその行為をしばらく続けた。マユミの身体が熱くなっていくのが彼にもわかった。

 

 ケネスはマユミの着衣を全て脱がせた。そしてあらためてマユミの秘部に唇を当てた。「ああっ!」マユミの身体がびくん、と跳ねた。「あああ……ケン兄、ケン兄、気持ちいい……」

 

 ケネスに抱かれながら、マユミはケンジの名を連呼していた。

 

 ケネスはその行為をずっと続けた。マユミの身体はどんどん熱くなった。「や、やだ! イ、イっちゃう! ケン兄、あたし、もうイっちゃうっ! イくっ!」びくびくびくっ! マユミの身体ががくがくと震えた。

 

 肩で息をしているマユミを見下ろしながら、ケネスはマユミにゆっくりと身体を重ねた。そして下着越しに大きくなったペニスをマユミの秘部にあてがいこすりつけ始めた。「ああ、ケン兄、ま、また……」

「マーユ……」ケネスはマユミにキスをした。マユミは手をケネスの下着に伸ばした。

 ケネスは自分でビキニを脱ぎ去った。「入れるよ」

「うん。来て、奥深くまで……」

 ケネスはペニスをマユミにゆっくりと挿し込んだ。「あ、あああああ、ケン兄!」

「う、ううっ!」

 

 マユミの身体を強烈な快感が駆け抜けた。「ああ、ケン兄、ケン兄!」

 

「マ、マーユ!」ケネスは激しく腰を動かし始めた。「好きや! マーユ、抱きたかった、こうして、……も、もうわい、あ、ああああ……」

 

「あたしも、ケン兄、大好き、イ、イって、イって! あたしもイくから、あああああ!」

 ケネスもマユミもお互いの身体を強く抱きしめた。

「で、出る、出るっ! マーユっ、マーユーっ!」びゅるるっ! びゅくん、びゅくん! 「イっちゃうっ! またあたし、イく、イくっ!」びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ!

 

 二人の身体は大きく脈打ち、いつまでも離れようとしなかった。

 静かに開けられたマユミの目から、大粒の涙がこぼれ始めた。「ケニー、ケニー……ごめんなさい、ごめんなさい! あたし、あたし……」

「マーユ……」脈動が収まったペニスを、ケネスはゆっくりとマユミから抜いた。「まだマーユにはケンジのことが忘れられるわけあれへんのにな……。無理もない……。ごめんな、マーユ、勢いであんさんを抱いてしもうた……」

「いいの、いいの、ケニー。あたし、あなたが好き……」

 ケネスはソファに折りたたまれていたケットを手に取り、泣きじゃくるマユミを座らせると優しくその身体を包んでやった。

「さあ、マーユ、いっしょにケーキ食べよか」

「うん」マユミはこくんとうなづいた。

 

 

 どすん! という大きな音が上の部屋から聞こえた。ミカは胸騒ぎを覚えて、急いで部屋を出た。

 

「海棠君!」どんどんどん、「海棠君! 何かあったの?」ミカはノブに手をかけた。ドアに鍵はかかっていなかった。ミカは躊躇わずケンジの部屋に入った。

「な、何これ?!」ミカは立ちすくんだ。ケンジの部屋は散らかり放題だった。教科書やノート、バッグ、着替え。缶ビールの空きかんが三、四本転がっている。ミカは床にだらしなく座り込んでベッドに突っ伏しているケンジを抱き起こした。

「海棠君!」

「あ、ああ、ミカ先輩」うつろな目でケンジはミカを見た。「どうしたんすか? なんれこんな汚いところに?」ケンジの舌はもつれていた。

「飲んだんだね? どうしたんだ、一体?」

「もうほっといてくださいよ。いいでしょ、飲んでも。今日、俺の誕生日なんすから。ははは~」

「大丈夫なの? 気分悪くない?」

「気分……すか? 全然平気っす。それより、なんか、暑くないっすか?」ケンジはよろよろと立ち上がると、シャツを脱ぎ始めた。上半身裸になったケンジはズボンのベルトに手を掛けた。しかし、ベルトだけを外したところで、そのままベッドに倒れ込んだ。

 

 ミカはケンジをとりあえずそのままにして部屋を片付け始めた。「まったく……。でも、ま、こいつが何を思っていたか、だいたい想像はつくけどね」

 

 あらかた片付けが済んで、ミカはベッドにうつ伏せで寝ているケンジを見下ろした。枕元に小さなフォトブックがページが開かれたまま伏せられていた。

「……だいたい想像は……つくけどね」ミカはそう独り言を言って、それを取り上げた。

 

 開かれたページにはケンジとマユミがビーチで水着姿のまま肩を抱き合っている写真が貼り付けられていた。写真の中のケンジはまるで子どものように真っ赤になって照れ笑いをしている。「こいつ、こんな顔することがあるんだ……。ん?」ミカはその足で何かを踏んでしまったのに気づき、足を上げた。「ペンダント……」

 そのペンダントは鎖が引きちぎられていた。ミカはそれを自分の手のひらにのせた。ケイロンが弓を引いているが、矢はついていない。小さな星が散りばめられた愛らしいペンダントトップだ。「この矢の持ち主への想いを断ち切りたかった……ってとこか」

 

 ミカはベッドの上のケンジの身体を乱暴に揺さぶった。「おい、海棠! 海棠ケンジ! 起きろ!」

「んあ?」

「服を着ろ。風邪ひくだろ!」

 ケンジは寝返りを打って仰向けになった。かすんだケンジの目に映っているのは、自分をのぞき込んでいる……マユミではないか!

「マユっ!」ケンジは突然、身体を起こした。

「え?!」ミカは小さく叫んだ。

「マユっ!」ケンジはもう一度その名を叫ぶと、いきなりミカの身体を抱きしめた。「ちょ、ちょっと待て! 海棠、あたしはマユじゃなくて、むぐうっ!」酒臭いケンジの口がミカの口を塞いだ。ミカは抵抗したが、すさまじい力でケンジに抱きすくめられていて身動きとれなかった。

 

 ケンジのキスは執拗だった。しかし、彼の唇が自分の唇をこすり、口に舌を差し込み、また舌を強く吸い込んだりされるうち、ミカの身体はだんだんと熱くなっていった。

 ケンジの腕から解放されたミカは、放心したようにぺたんと床に座り込んだ。ケンジはさっき脱ぎかけていたズボンを脱ぎ去り、黒いビキニの下着一枚になった。そしてベッドに再び仰向けになり、目を閉じたままため息交じりに言った。

 

「マユ、おいで……」

 

 ミカの身体の中の熱いものが激しく湧き上がってきた。「マユ、早くおいで」ケンジがまた言った。ミカは立ち上がり、ゆっくりと上着を、ジーンズを、シャツを脱いでいった。彼女がブラに手を掛けたのを見たケンジは言った。「ああ、それは俺が外してやるよ、マユ。こっちにおいで」

 

 ミカはそのままケンジの身体に重なった。ケンジの手がミカの背中に回され、ホックが外された。肩ベルトが弛み、ミカのバストがこぼれた。ブラを乱暴に取り去ったケンジは、下からミカの乳首を吸い始めた。「あ、あああっ……」ミカの身体はますます熱くなった。「か、海棠君……」

 おもむろに口を離したケンジが言った。「『海棠くん』? マユ、お前も海棠だろ? 何言ってんだ。俺たち兄妹なんだからな」そして再びケンジはミカの乳首を咥えた。「んっ! んんっ!」ミカは身もだえした。

 

 ケンジはミカの身体を抱いたまま寝返りをうった。今度はミカが仰向けにされた。ケンジはミカを見下ろしながら言った。「マユ、きれいだ……相変わらずきれいなカラダだ……」そしてミカの脚をゆっくりと開くと、ショーツに鼻をこすりつけ始めた。「あ、ああっ、いやっ! や、やめっ! やめろ! か、海棠っ!」

「いい匂いだ、マユ。俺の大好きなお前の匂い……」ケンジはそれから下着をつけたまま、自分のペニスをミカの秘部にあてがい、こすりつけ始めた。「あ、あああ……」ミカのカラダが疼き始めた。「も、もうい、入れて、」

「まだだめだ。マユ……」

 

 ケンジはミカのショーツをはぎ取った。そしてまた脚を開くと谷間に舌を這わせ始めた。「あ、あああああっ!」

 クリトリスと谷間のヒダを舌や唇で愛撫され、ミカは身体をよじらせた。「い、いいっ! 熱い、熱くなってくるっ!」いつしかミカの秘部からはたっぷりと愛液があふれ出し、ケンジのベッドのシーツをしっとりと濡らしていた。「い、入れて! お願い、あたしに入れて! あなたと、繋がりたい……ああああ……」

 

「よし。マユ、入れるよ」ケンジは下着を脱ぎ去った。そしてゆっくりとミカのカラダに入り始めた。

「あ、ああああ! だ、だめ、もうイ、イきそう!」ミカがひときわ大きく喘いだ。

 ケンジは腰をゆっくりと動かし始めた。「イ、イってしまうっ! が、我慢できない、ああああ!」ミカが叫ぶ。「お、俺も、もうすぐ、あ、あああああ! マユ、マユっ!」ケンジの腰の動きが激しくなった。「イって! イって! あたしの中で、あああああ! 海棠っ! イくっ! イくーっ!」びくびくびくびくっ! ミカのカラダが痙攣を始めた。! 「海棠ーっ!」

 

「『海棠』?!」ケンジが目を見開き、身を起こした。「だ、誰っ?!」

 

 自分のペニスにその秘部を貫かれ、激しくイきながら身体を震わせているのは……!

 

「ミ、ミカ先輩っ!」ケンジは慌ててペニスを抜いた。しかし、登り詰めた興奮は、もう収まるはずもなく、熱い反射が彼を激しい絶頂に導いた。

「ぐうっ!」ケンジはとっさに自分の手でペニスを握りしめた。

 

 びゅるるっ! びゅるっ! びゅくっ! びゅくっ!

 ケンジの身体の中から迸り出る精液が、ミカの腹と乳房に何度も大量に放たれた。

 びゅくっ! びゅくびゅくびゅく……びくっ……びく……。

「ミカ先輩っ!」ケンジはベッドから転げ落ちた。そして耳まで真っ赤になり、土下座をして頭を床にこすりつけた。「すっ! すみません、すみません! ミカ先輩! 俺、俺っ! と、とっ、とんでもないことを!」

 ミカは呼吸を整えながら、身体を起こして言った。「バカ! 途中で抜くやつがあるか! もっと余韻を楽しませてくれてもいいでしょ?」

「すっ、すみませーん!」ケンジはまた床に頭をこすりつけた。

 

 ミカの胸や腹に掛けられたびっくりするほど大量のケンジの精液は、だらだらと流れ落ち、ミカの太股の間の茂みに吸い込まれていった。彼女は、腕を伸ばしケンジを鋭く指さした。「海棠ケンジっ!」

「は、はいっ!」

「この責任は、いずれきっちりとってもらうからな! 覚悟してろよ!」

「ごっ! ごめんなさいっ! お、お許しくださーい!」

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★この事件は、ケンジにとって人生で最も恥ずかしい出来事のひとつです。この丁度一年後、ミカはケンジに告白し、二人は交際を始めるのですが、ケンジはいつまでもミカへのこの行為をひどく申し訳なく思っていました。でも、ミカはこの事件をたびたび持ち出して、ケンジを容赦なくからかうのでした。

Chocolate Time 基礎知識 『ケンジとミカの初体験』→

《この出来事が話題にのぼるエピソード》