《7.天道 修平と天道 夏輝

 

夏輝「こんにちは。」

修平「おじゃまします、神父尊さん。」

神父尊「やあ!夏輝ちゃんに修平君。さあ、中へ。」

修平「失礼します。」

父尊「さすが、礼儀正しいね、修平君。」

修平「恐れ入ります。」

神父尊「二人とも、座って。コーヒーでいい?」

夏輝「お構いなく。」

修平「早速ですが神父尊さん、エピソード8では、俺を主役にしてくださって、ありがとうございました。」

夏輝「え?何言ってんの?あの話はあたしが主役でしょ?」

修平「ばかなこと言うんじゃねえよ。あれはどう考えても俺だろ?おまえも総体での俺のかっこいい姿、観ただろ?」

夏輝「あんたね、あれは総体がテーマの話じゃなくて、あたしの初々しい初体験がテーマなんだからね。」

修平「寝言は寝て言え!それを言うんなら俺だって初体験だっただろ?」

夏輝「あんた最初は失敗したし、やっと成功した時もあたしにいっぱい恥かかせたじゃん。」

修平「うっせえ!誰だって初めての時はそんなもんだ。」

神父尊「(おずおずと)あの・・・・・。」

夏輝「それに、読者の皆さんの八割は、あたしの反応や仕草に萌えてたはずよ。」

修平「残りの二割が俺かよ。」

夏輝「違うでしょ。残りはケンちゃんと春菜の初体験だよ。」

修平「何だよ、それ!」

神父尊「(焦りながら小さな声で)ちょ、ちょっと。、二人とも・・・。」

夏輝「どっちにしたって、あんたは脇役なの、脇役!」

修平「ざけんじゃねえ!黙って聞いてりゃ勝手なことばっか、」

夏輝「黙って聞いてないじゃん。あんた、横からぐちぐち言ってないで、いいかげん諦めたら?」

修平「こっ!こいつっ!上等じゃねえか!表出ろ!」

夏輝「わかった。出てやるよっ!」

神父尊「こっ、困るよ、二人とも来たばっかりで、出て行かれたら・・・・。」

夏輝(修平の耳を引っ張りかけた手を止めて)「あ、」

修平(夏輝の胸ぐらを掴んだ手を止めて)「そ、」

神父尊「落ちついてくれないかな、一応対談だし・・・。」

修平(居住まいを正して)「す、すみませんでした。」

夏輝「ごめんなさい。」

神父尊(ハンカチで汗を拭きながら)「相変わらず威勢がいいね、二人とも。」

修平「はあ・・・。」

神父尊「ところで、このシリーズの中では、君たちにはかなりファンが多いんです。」

夏輝(ひどく嬉しそうに)「そうなんですか?」

神父尊「はい。それまでにない突撃タイプのキャラだからね、二人とも。」

修平「突撃タイプ、ですか・・・。」

神父尊「うん。行動や発想や反応が解りやすくて、若々しくて、元気で。だからあのエピソード8は、最初から最後までとてもテンポ良く、生き生きと物語を紡いでいくことができました。僕からもお礼を言います。どうもありがとう。」

夏輝「いえいえ。でも、あたしたちのファンがいるって、嬉しいよね。」

修平「そうだな。」

神父尊「小説を、特にシリーズとして続けていっていると、どうしても変化をつけるために登場人物を増やさなきゃいけなくなる。いえ、決して、だから仕方なく君たちを登場させたわけじゃないんだけどね。その時に、今までいたキャラクターとははっきり違う人格のキャラクターを準備するのは定石です。」

夏輝「なるほど。」

神父尊「そういう意味で、君たちや春菜さんは、十分その役目を果たしてくれました。」

修平「春菜も見た目おとなしいですけど、かなりインパクトはありますね、そう言えば。」

神父尊「だよね。」

夏輝「彼女の眼鏡属性は、当然計算尽くだったんでしょ?」

神父尊「もちろんです。生々しい話で申し訳ないんですが、このシリーズはアダルト小説です。つまり、読者は性的な興味や興奮を求めてこの話を読む。そしてその読者にもいろんなタイプがあって、それぞれ好みも違う。」

修平「そうか、それで、いろんなタイプの読者のニーズに応えるためにも、いろんなタイプのキャラクターを登場させるってわけなんですね?」

神父尊「その通りです。夏輝ちゃんのように、日頃弾けた女のコが、セックスの時に見せるしおらしさに萌える読者もいれば、眼鏡をかけた女のコが感じる姿に萌える読者もいる。それに、健太郎君のように、相手の女性をいたわりながら、ずっと気に掛けて繋がり合うセックスを好む読者もいれば、修平君のように、不器用だけど、相手の女のコへの想いが手に取るようにわかるようなやんちゃなセックスが好きな読者もいるはずです。」

夏輝「確かに修平はやんちゃだね。」

修平「なんだよ、やんちゃ、って。」

夏輝「だって、あんたいっつも我慢できない顔であたしを抱くし、自分がやりたいことをあたしに要求したりもするし。」

神父尊「じゃあ、愛し合う時はいつも修平君のペース?」

夏輝「というわけでもないんです。」

神父尊「と言うと?」

夏輝「修平は、イく時は、決して一人だけ先にいったりしないんです。こう見えても。」

神父尊「へえ。」

夏輝「あたしが感じて上り詰めるのを、九合目あたりで待っててくれて、いつも必ず一緒にクライマックスを迎えるんです。」

神父尊「偉いね、修平君。そういうところはとても紳士的だ。夏輝ちゃんのことをしっかり思いやってる証拠だね。」

修平(頭を掻きながら)「そ、そんな大層なこっちゃないんですけどね。でも、俺、こいつを置いて一人だけイくことが、実はどうしてもできないんです。っつーか、そんなことしたら、後でこいつにむちゃくちゃ悪し様に言われちまいますからね。なにしろ最初にこいつの部屋でやった時は俺だけイっちまったから・・・。」

夏輝「何よ、そういう理由で一緒にイってたの?あんた。」

修平「ち、違わい!」

神父尊「はい、ストップ!」

修平「すみません。また・・・。」

神父尊「たぶん、修平君、照れ屋だから、そんなこと言ってるんだと思うけど、夏輝ちゃんのことが、本当に好きで好きで堪らなくて、セックスの時も最後まで手をつないでいたい、って思ってるんだよね。」

修平「そうですかね・・・。」

神父尊「作者の僕が言うから間違いないよ。」

夏輝「嬉しい。修平。」

修平「ところで、神父尊さん。」

神父尊「何?」

修平「ずっと気になってたんですけど、なんで、あなただけ目に黒い帯が掛かってるんすか?」

夏輝「あたしも気になってました。」

神父尊「そ、そりゃあ、僕の正体をばらすわけにはいかないからに決まってるでしょ。これはアダルト小説です。そんなエッチなことをいつも考えてるってことが、日常お付き合いしている友だちや同僚に知れたらとんでもないことになってしまいますよ。」

修平「そりゃそうだ。」

神父尊「だから、僕だけは音声も変えてあるんです。」

夏輝「そこまで・・・。」

神父尊「それはそうと、夏輝ちゃん、今日はゆったりしたシャツを着てますね。いつもはセクシーなぱつぱつ系のものなのに・・・。」

夏輝「はい、実は・・・・。(赤くなってうつむく)」

修平「今、こいつ5か月なんです。」

神父尊「ええっ!」

夏輝「秋に、ベビー誕生の予定なんです。」

神父尊「そ、そりゃめでたい!」

修平「名前は決めました。」

神父尊「早っ!」

夏輝「『穂波』です。女のコ。」

神父尊「もう性別もわかってるんだ。」

修平「もう俺、楽しみで楽しみで・・・・。」

神父尊「ほんとに修平君、嬉しそうだね。」

修平「間違いなく俺の子なんで。」

神父尊「何だよ、それ。」

夏輝「修平、強烈に嫉妬深くて独占欲も強いし、病院で何度も主治医の先生に訊くんです。血液型とか、染色体とか・・・。」

神父尊「そうなの?」

夏輝「もう、先生、うんざりしてました。先週なんか、間違いないから、もう二度と訊くな、って言われてました。」

修平「だから俺の子なんです。」

神父尊「わかったわかった。」

修平「生まれたら、必ず見せに来ます。神父尊さん。楽しみにしててくださいね。」

神父尊「ほんとに嬉しそうだ。夏輝ちゃんもお腹の穂波ちゃんも、幸せだね。」

夏輝「はい。」

神父尊「元気な赤ちゃんを産んで、二人でいっぱいかわいがってくださいね。」

修平「ありがとうございます。」