《8.シンプソン健太郎とシンプソン春菜

 

健太郎「こんにちは、神父尊さん。」

春菜「ご無沙汰してます。」

神父尊「やあ、二人とも、よく来てくれたね。」

健太郎「シリーズ完結、おめでとうございます。」

春菜「おめでとうございます。」

神父尊「ありがとう。」

春菜「私、もちろんエピソード1から読ませていただきましたけど、第一期のケンジさんとマユミさん兄妹のお付き合い、素敵ですよね。」

神父尊「そう言ってくれると、僕もこの話を書いてきた甲斐があります。本当にどうもありがとう。」

健太郎「僕の身体に母さんとケンジ父さんの血が流れていることを、僕は本当に幸せに思います。あの二人の心の繋がり合いは、誰よりも真剣だし、深いし。」

春菜「それだけにお二人がそれまでの関係を清算された場面はとっても切ない気持ちで読みました。」

神父尊「うんうん・・・・。(少し涙ぐむ。)」

健太郎「そして神父尊さん、僕の初体験、あんなに濃厚に熱く描いてくださって、ありがとうございました。」

春菜「ケンがミカさんにあんなに親切にしていただいて、私もとっても満ち足りた気分になりました。」

神父尊「でもまあ、あの時はミカさんも酔った勢いっていう感じもしたけどね。それに、親切にした、というより、ミカさん自身もかなり楽しんでいたような気もするけどね。」

健太郎(恥ずかしがりながら)「お、俺、ずっとミカさんと繋がってて、今思えば彼女にずいぶん無理をさせちゃったな、って思います。」

春菜「ミカさんじゃなきゃできない役割ってとこだよね。」

健太郎「うん。それは思う。俺も。」

神父尊「ミカさんはそうやって君をオトコにしたりもしたけど、夏輝ちゃんと修平君にセックスの極意を教えたり、とにかく若い子を導く第一人者だからね。」

春菜「私たちの世代は、例外なく彼女に何かを教えられているような気がします。」

健太郎「すっごく頼れる人だしね。」

神父尊「さて、健太郎君が主役の話、というのは、エピソード8だけど、どうでしたか?」

健太郎「はい。あれは自分で読んでもちょっと恥ずかしいというか、申し訳ないというか、」

神父尊「なんで?」

健太郎「だって、ルナとの初めての体験の時、俺をあんなに優しくて思いやりのある男として描いてくださってたので・・・。」

神父尊「だってそうでしょ?君はケンジ君譲りの超ジェントルマンじゃないですか。」

健太郎「そ、そうなのかな・・・。(頭を掻く)」

神父尊「そうだよね?春菜ちゃん。」

春菜「はい。その通りです。天道君とは違うタイプのキャラクターで、あの話の中では、どっちもちゃんと存在感を主張できていたと思います。」

神父尊「うんうん。それは僕もちょっと気になってたとこ。ややもすれば、修平君と夏輝ちゃんの初体験が大きくクローズアップされて、読者はそっちしか印象に残らないのではないか、と思ったりもしてました。」

春菜「天道君と夏輝の愛し合いとは、かなり違う印象の繋がり合いだったですからね。私たちのは。」

神父尊「女性を抱く時、それも初めての女のコと繋がり合う時に、あそこまで冷静に、しかも相手の女のコを気遣いながらセックスに挑む男のコというのも、とても珍しいよね。高校三年生と言ったら、とにかく、女のコとセックスできると思った瞬間に野獣になってもおかしくない年頃なのにね。」

春菜「私、もう本当に感激しましたもの。ある意味、乱暴な扱いを受けて、それなりの痛みも感じることを覚悟していた私にとって、ケンとの初体験は、もう、何というか、衝撃的とも言える出来事でした。」

健太郎「い、いや、ルナは幸いあの時あまり痛みを感じないで済んだので、そう思ってるのかもしれませんけど、俺も、かなり気は遣ってました。でも、これって単に俺、臆病者だからなんですよ。きっと。」

神父尊「いやいや、そうじゃないと思うな。もともと君の持つフェミニストとしての性格の成せるわざ。」

春菜「そうですよね。でも、それはもしかしたら、ミカさんに導かれたケン自身の初体験が影響しているのかもしれませんね。ミカさんに教えられた、相手を気遣いながら愛し合う、ということが、ケンのセックスの時の行動に繋がってるような気もします。」

神父尊「なるほど。」

春菜「でも、このシリーズに登場する男の人って、みんな初めての時は自分から攻めていきませんよね。」

神父尊「え?そうだっけ?」

春菜「すごく好きで、今、目の前にその女のコがいて、いざ、っていう時、必ずその相手の女のコからの誘いで彼らは彼女を抱くんです。」

健太郎「そう言えば、ケンジ父さんも、マユミ母さんとの初めての時は母さんが父さんの胸に腕を回してきたのがきっかけだったね。」

春菜「でしょ?あなただってミカさんに脱げ、って言われて始めたし、私との時も、部屋で私からあなたを誘ったし、」

神父尊「確かに、そう言われれば・・・。」

春菜龍くんだって、真雪に促されて彼女を抱いたし、天道君も、夏輝に手を引かれて部屋に入った。そうそうケニーさんも、マユミさんに『抱いて』って言われて抱いてあげたんですよね。」

健太郎「でも、その中で異彩を放っているのは、ケンジ父さんとミカさんとの初めての繋がり。」

神父尊「それ、ケンジ君本人は早く忘れたいほど恥ずかしい体験だったらしいけどね。」

健太郎「まあ、そうでしょうね。」

春菜「特にあの時ケンジさんはかなり酔ってましたし、マユミさんのことが忘れられなくて見境がつかなくなっていた、っていう特殊な条件でしたけどね。」

神父尊「ただ、そのケンジ君は、ミカさんに告白された日にラブホテルに連れ込まれたわけだから、どっちもどっちかも知れないね。」

健太郎「でも、その時ケンジ父さん、ミカさんとは繋がらなかったんでしょ?」

神父尊「そうなんだよ。本当に彼は紳士だと思う。決して野性が理性を上回ることがない。彼の場合はいつもそう。」

春菜陽子さんとの繋がりの時も、ずっと紳士的でしたものね。」

健太郎「だから一樹さんはケンジ父さんに憑依して、陽子さんを慰めてくれたんだよね。」

春菜「うん。あれはケンジさんでなければそうはいかなかったと思う。」

健太郎「俺もそう思う。」

春菜「ケンジさんもマユミさんも、第二期では積極的に前に出てきませんけど、ずっと後ろで私たちを包んでくれてるような気がします。」

健太郎「うん。俺たちが自由にのびのびできているのも、ケンジ父さんとマユミ母さんが作ってくれた温かい雰囲気があるからだと思うね。」

春菜「間違いなく『Chocolate Time』シリーズの主人公。」

健太郎「そうそう、神父尊さん、」

神父尊「はい?」

健太郎「本編の11作は終了しましたけど、外伝はまだ続くかもしれない、って聞いたんですけど、本当ですか?」

神父尊「ああ、それね。うん。続けるつもり。」

春菜「嬉しい!私、本編の裏側や過去を描いたこの外伝シリーズ、大好きなんです。」

神父尊「そうなの?嬉しいね。」

健太郎「俺も好きですよ。こう言っちゃなんですけど、結構気軽に読めるし。」

神父尊「君たちがらみの外伝って言ったら、『AVタイム』。」

(健太郎が真っ赤になる。)

春菜「私、あの話が一番好きです。もう、ケンの反応が最高です。」

神父尊「あれはそもそも春菜ちゃんが健太郎君とミカさんとの絡みが見たくて設定したんでしょ?」

春菜「はい。でも予想以上でした。」

健太郎「思い出すと、かなり恥ずかしいんだけど・・・・。」

神父尊「シリーズをアップしている小説サイトでの閲覧数も、僕の外伝の中ではかなり多い方なんだよ。」

健太郎「そ、そうなんですね・・・・。」

春菜「これからの外伝って、どんな内容になるんですか?」

神父尊「そうだねえ・・・、今までみたいに、本編の合間を縫った小エピソードだけでなく、最後の第11話以降のちょっとした話も書いてみようかな、なんて思ってるところなんだけどね。」

健太郎「生まれた健吾や真唯の成長の話とかですか?」

神父尊「いやいや、あくまで『Chocolate Time』シリーズとしての外伝である以上、シリーズの中の登場人物の逸話に限られると思うよ。」

健太郎「ということは、修平たちや龍夫婦、俺たちの結婚後の話も出てくるんですか?」

神父尊「当然そうなるね。ケンジ君夫婦、ケネス君夫婦もたぶん何らかの形で登場すると思うよ。」

春菜「この外伝って、いわゆる『二次創作』みたいなものですよね?」

神父尊「そうだね。これを他人が書けば二次創作。でも作者本人が書いているからね。」

健太郎「著作権を意識せずに書けるってことですよね。」

神父尊「安上がりでしょ?」

春菜「例えば、神父尊さん以外の人が、私たちを登場させる話を作ったりするのは?」

神父尊「大いにやって欲しいね。他の人が、このシリーズの登場人物をどう捉えているか、ってことは僕はとても興味がある。ただ、」

春菜「ただ?」

神父尊「僕が書いている外伝は、基本的に君たちの住んでいる世界や時間軸はそのまま生きている。というか、本編で描かれていることを否定するようなシチュエーションや、矛盾するようなことを描くことはありません。でも、他人が創作する物語は、そうもいかないかもしれない。」

健太郎「どういうことですか?」

神父尊「ケンジ君にこそこそ浮気させる、とか、夏輝ちゃんが飲酒運転をする、なんて話、僕は絶対に書きません。彼らはそういうキャラクターではないからです。ほかの登場人物も、それぞれに揺るぎない個性を持っていますから、たとえ他人が二次創作するにしても、そこんところは意識してほしい、という願いは原作者にはあります。」

春菜「それはそうですね。興味半分で、人格を無視して好き勝手な行動をとらされるのは、私も抵抗があります。」

健太郎「でも、結構いろんな人が、有名なアニメや漫画の人物を、元々そんな性格でもないのに、勝手に絡ませたりしてますよね。」

神父尊「うん。男同士をゲイカップルにしたり、あつあつの恋人同士だった片方を不倫させたり・・・。まあ、表現は自由でいいじゃないか、という人がいるのは認めますけど、それが原作以上に評判になったりするのは、やっぱり原作者としてはおもしろくないでしょう。」

春菜「逆に、そのキャラクターの性格を維持した上で、こんなシチュエーションもあるんじゃない?みたいなノリで二次創作されるのはおもしろそうですね。」

神父尊「うん。もしそういう『誠意のある』二次創作物語が作られたら、僕はとてもうれしい。」

健太郎「やっぱり基本的には原作者への敬意があるかないか、ということですね。」

神父尊「同時に登場人物への敬意もね。」