Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集 第11話

《男の矜恃タイム》

1.実戦実習 - 2.揺れる気持ち - 3.秋月の矜恃 - 4.修平の矜恃

〈2.揺れる気持ち〉

 

 車内ではしばらくの間会話が途切れていた。

 夏輝は窓の外を流れる風景を見るともなく眺めていた。

 

 パトカーが赤信号で止まった。

 秋月はドリンクホルダーから自分のペットボトルを手に取り、お茶を一口飲んだ。

 

 交差点の近くに公園があった。木陰のベンチに若いカップルが座っている。その二人は幸せそうに肩を抱き合い、何かを語らっていた。時折彼女の方が彼の顔を見て恥ずかしそうに微笑んでいた。

 

 夏輝の喉元に熱い固まりが上がってきて、その次に目にうっすらと涙が浮かんだ。

 

 夏輝は思わずパワーウィンドウのスイッチを押して窓を閉めた。

 

 信号が青になり、パトカーはまたゆっくりと進み始めた。

 秋月は無言で開いていた他の窓を全部閉め、エアコンのスイッチを入れた。

 

 夏輝の瞳にたまった涙がぽろりとこぼれ、彼女は慌ててハンカチで目元を拭った。

 

 パトカーが減速し、路肩に立っている大きな木の陰に入って停車した。

 

 秋月はサイドブレーキを引き、ハンドルに右手をかけたまま、身体を夏輝に向けた。

「どうかしましたか? 日向巡査」

「い、いいえ。大丈夫。大丈夫です」

「具合が悪いんですか?」秋月は心配そうに夏輝の顔をのぞき込んだ。

「ご、ごめんなさい、勤務中なのに……」

 

 秋月は優しい目で夏輝を見た。「身体が疲れている上に、何か辛い気持ちになっているみたいですね?」

「…………」

 少し躊躇ったように秋月は言った。「話して楽になるようなら、僕で良ければ訊いてあげますけど……」

「いえ、大丈夫。本当に大丈夫です……」

「少しゆっくりしてるといい。ベルト外して、しばらく目を閉じて、静かに息をしながら……。シートも少し倒して」

 

 夏輝は秋月に言われた通りにシートを少し倒して静かに目を閉じ、一つ大きな深呼吸をした。

 

 

――肩に手が置かれて夏輝は目を開けた。

 

「夏輝さん、少しは気分、良くなった?」秋月の顔が目の前にあった。

「え? は、はい……」

「僕が貴女の身体を癒してあげましょう。」

 秋月はそう言うと、夏輝の両頬を手で包み込み、そっと唇を重ねてきた。

 夏輝は目を見開いたが、抵抗しなかった。そればかりか、柔らかな秋月の唇の甘い感触に彼女は身体を熱くし始めた。

 

 口を離した秋月は、制服越しに夏輝の乳房に手を当て、柔らかく揉み始めた。

「あ、秋月巡査長……」

 

「『遼』って呼んでもいいですよ。僕のこと」秋月はそう言って、その行為を続けた。夏輝の身体中が熱を持ち、額に汗が滲み始めた。

 

 秋月の唇が再び夏輝の口を塞いだ。そして手が彼女のスカートの裾から太股をはい上がり、ショーツの隙間から二本の指が秘部に侵入してきた。

「んんんんっ!」夏輝は口を塞がれたまま呻いた。

 

 秋月の指の一本は、夏輝の茂みの下の小さなつぼみを柔らかく撫で、もう一本は豊かに潤った谷間の中で細かく震えながら動いた。

 小さくぬちゃぬちゃと音がした。夏輝の興奮は一気に高まった。

 

 そして夏輝は上り詰めた。

「んはあっ!」

 秋月が口を離した途端、夏輝は身体をぶるぶると大きく震わせて仰け反った。

 

「気持ち良かった? 夏輝さん」秋月はまた優しい目で夏輝の顔を見た。

「遼さん! あ、あたしも!」

 夏輝は焦ったように秋月のズボンのベルトを緩め、ジッパーを下ろした。そしてしっとりと汗ばんだ彼の下着から太く、大きくなったペニスを取り出した。

「あ、な、夏輝さん!」

 

 夏輝は秋月の股間に顔を埋め、彼のものを頬張った。そして唾液をしたたらせながら夢中で口を上下に激しく動かした。

「なっ! 夏輝さん! だ、だめだ!」

 秋月は喘ぎ始めた。

 

「イ、イく! イくっ! 出るっ!」秋月が大声を出して身体を仰け反らせた。

 

 その若い警察官の身体がびくん、と大きく跳ね、同時に夏輝の口の中に強烈な勢いで熱い液が迸り始めた。

「うあああああーっ!」

 

 夏輝がくわえたままの秋月のペニスはびくびくと大きく脈動し、口の隙間からどろどろした白い液が溢れ続けた。

「夏輝さん、夏輝さんっ!」

 

 

 

「日向巡査、日向巡査!」

 はっとして目を開けた夏輝は、目の前に心配そうに自分の顔をのぞき込んでいる秋月の顔があるのに気づいた。

 夏輝は口元から垂れていた自分の唾液を慌てて指で拭った。

 

「こんなに汗をかいて……。ごめんなさい、エアコン、もっと強くしとけばよかったですね」

 秋月は申し訳なさそうに微笑んだ。

「えっ?」夏輝はきょろきょろとあたりを見回した。

 

 秋月の制服も、夏輝自身のそれも乱れていなかった。

 

「なんだかうなされてましたよ、日向巡査。悪い夢でも?」

 

 夏輝は豪快に赤面して秋月から顔を背けた。「え、ええ……。ちょっと……」

 

  秋月はハンドルを握り直して、パトカーを再びゆっくりと発進させた。そして明るい声で唐突に言った。「日向巡査は何が好きですか? 食べるもの」

「えっ?」

「今夜、ごちそうしてあげましょう。貴女の気持ちを落ち着かせるために。だめですか?」

「え? い、いいんですか?」

「僕も貴女の指導員として、ちょっと責任を感じるし。あ、決して下心があるわけじゃありませんから」秋月は頭を掻いた。

「う、うれしいです。巡査長」夏輝の身体が、また熱を帯び始めた。

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