Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集 第12話

〈6.浴室〉

 そのバスルームは、内装がピンク色に統一されていた。ショッキングピンクの大きなバスタブの横にシャワーが取り付けられていた。

 

 龍はバスチェアーに座ったミカの後ろに同じように腰掛け、ソープを泡立てながら彼女の身体を優しく洗ってやっていた。

「母さんの肌、ってすごくなめらかできれいだね」

「なにおだててんだ」

「おだててなんかないよ。ほんとだよ」

 

 ミカは嬉しそうに笑った。

 

「俺さ、真雪があの実習から帰ってきて、俺に泣きながら抱かれた後、こうしていっしょに風呂に入ったんだけどさ」

「ああ」

「その時の真雪の背中に、なんだかよく似てる。母さんの背中って」

「ほんとかよ」

「うん。安心しきっている背中」

「ま、それは当然だよ。お腹を痛めた息子に身体を洗ってもらってるんだから。ある意味ケンジよりも安心してるかも。もっと年取ったら、おまえにこうして介護される日が来るだろうしね」

「任せてよ、母さん」

 二人は笑い合った。

 

「でさ、もっと昔の話なんだけど、俺、中学校で理科の教師にレイプされたじゃん」

 ミカは思わず険しい顔をした。「ああ、あれも忌まわしい事件だったな」

「その後も真雪と俺、いっしょに風呂に入ったんだけど、その時にね、真雪、俺のここを握って、刺激して射精させちゃったんだよ」

「マジでか?」

「うん。まだ初体験も済ませてないのにだよ」

「へえ。なかなか大胆だな、真雪」

「だよね」

「恥ずかしかっただろ? 龍。女の子の裸見るのも、その時が初めてだったんだろ?」

「もう、恥ずかしいなんてもんじゃなかったよ。鼻血も出したし。でも、そのことで、なんだか身体の中の、あの教師に汚された部分が全部身体から出て行ったような気がした」

「白い液と一緒に?」

「うん。でも、真雪って、それを意図してやってくれたのかな」

「きっとそうだろうよ」ミカは微笑んだ。

「だからその晩、真雪と初めて繋がった時は、もう、すっかり心も体も清められてた、って気がした」

「素晴らしいね、愛の力は」ミカが笑った。「よし、じゃあ今度はあたしが洗ってやろう。こっち向け、龍」

「恐れ入ります」

 

 二人は向かい合った。ミカは顔を上げて龍の澄んだ目を見た。「おまえ、ほんとに立派になったな。こうしていたら見上げなきゃなんない」

「母上と父上のお陰ですよ」龍は笑った。

「ちっちゃい頃は、あたしの腕の中にすっぽり入ってしまうくらいだったのにな」ミカはそう言って龍の広い背中に腕を回した。「もう手さえ回らないね」

 龍も母の身体を抱き返した。「今は俺が母さんを腕の中に抱きしめられるね」

 

 ソープがまつわりついた肌同士がぬるぬると擦れ合った。

 

「真雪みたいに、ここで出してやろうか?」

「俺だけイくの、いやだよ。せっかくだからいっしょにイきたいな」

 ミカはにっこりと笑った。「わかった。どんなポジションで入れる? 龍」

 龍は赤くなって母の目を見た。「もう繋がるの? ここで」

「いいじゃないか。もったいぶるなよ。いっしょにイくっつったら繋がるしかないだろ?」

「そ、そりゃそうだけどさ……」龍はますます赤くなって母から目をそらした。

 

「二人とも全裸だし。せっかくのシチュエーションじゃないか」

「で、でも、ゴムはベッドんとこ……」

「心配いらないよ。今は安全期だ」

 龍は少し困惑したように眉尻を下げた。

「で、でも、俺、イく時抜くからね」

 

 ミカは龍の顔を見て少し考えた後、ゆっくりと言った。

「わかった。おまえの好きなようにやって」

「ここだとバックからのポジションだけど……母さんは好き?」

「ああ、感じるね。刺激的で大好きだよ。でも、」

「でも?」

「最初はさ、龍、バスタブの中であたしを後ろから抱いて」

「いいけど……」

 

 龍がまだ湯の張られていないバスタブに入り、脚を伸ばした。ミカは少し恥じらいながら彼に背を向け、静かに龍の太股に跨って座った。

 龍は背後からミカの二つの乳房をその大きな手で包み込み、静かにさすり始めた。

「あ……龍……」

 ミカは顔を上げてうっとりしたようにため息をついた。

 

 龍はその行為を続けながら、ミカの首筋に唇を這わせた。ミカはますます息を荒くしていく。

 

「龍、も、もう入れて、あたしに……」

 

「う、うん」

 龍はそう言ってミカの腰を抱え、鋭く立ち上がった自分のペニスの上に、その谷間を導いた。

「ああ……またおまえがここに戻ってくるんだね……」

 ミカはゆっくりと腰を落としていった。

「あ……あああ!」ミカは大きな喘ぎ声を上げた。そしてゆっくりと腰を上下に動かし始めた。

 

「くっ!」龍が苦しそうに顔をゆがめた。ミカの腰の動きが次第に大きくなっていく。

 

「龍、龍!」

 

 龍はとっさにミカの身体を抱いて持ち上げ、ペニスを彼女の秘部から抜き去った。

 

 はあはあはあ……。

 龍は大きく肩で息をしていた。

「龍、あたしバスタブから出て縁に手を掛けて立つから、バックから入れて」

「え?」

「バックから攻められてイきたいんだ、今」

「わかった」

 

 ミカと龍はいっしょにバスタブから出た。そしてミカは立ったままその縁に手を掛け、ヒップを高く持ち上げた。

「いくよ、母さん」

 龍は彼女の背後に位置して、腰を両手で支えながら、雫を滴らせている谷間に、再び自分のいきり立ったものを挿入させていった。

「ああ、あああああ……」ミカが喘ぎ始めた。「りゅ、龍、動いて……」

 龍は始めゆっくり、そして次第に大きく速く出し入れを始めた。二人の身体は同じように揺れ動き、二人の息は同じように荒くなっていった。

 

「りゅ、龍、も、もうあたし、あたしっ! あ、あああああ!」

「か、母さん、俺ももうすぐ、んっんっんっ!」

 

 ミカの身体が大きくビクンとはねた。

 

「あああああーっ! 出、出るっ!」龍はミカの秘部からペニスを抜いて手で握った。

 びゅるるっ! びゅくっ! びゅくっ! その白い液は勢いよくミカのヒップを直撃して、彼女の太ももを伝い、いく筋も流れ落ちていった。

 

 

 ベッドの横に立ったケンジに真雪は言った。「咥えてあげるよ、ケンジおじ」

「今はだめ。絶対だめっ!」ケンジはきっぱりと言った。「俺、シャワー浴びさせてもらう。止めるな! 真雪」

 真雪は笑った。「何それ。そんなに力んで言わなくても」

「おまえの口を無駄に汚すつもりはない。これだけは譲れないから」

 ケンジはそう言ってバスルームに入っていった。

 

 すぐに真雪も彼の後を追った。

「こっ、こらっ! 真雪、なんで入ってくる?」ケンジは慌てて股間を押さえた。

「え? いいじゃない。恋人同士ならホテルではこれが普通でしょ」

「だれが恋人同士だっ!」

「遠慮しないで、ケンジおじ」真雪は微笑んだ。

「は、恥ずかしいだろっ! し、しかもおまえ全裸だし!」

 真雪は遠慮なく呆れ顔をした。「当たり前だよ。服着たままシャワーなんて浴びられないじゃない。それにあたしのこの姿、さっきベッドで見たでしょ?」真雪はくすくすと笑った。「素敵。ケンジおじのそのシャイさ加減、あたし大好き。昔からそうだよね」

「からかうんじゃないっ」

 

 そのバスルームは深い青色で内装が統一されていた。丸い、大きなジェットバス付きジャグジーが、全面ガラス張りの窓の近くに設置されていた。その部屋は5階にあったので、下を流れる川も、遠くの街も一望できた。街の灯がまるで小さな宝石をばらまいたようにきらめいていた。

 

 真雪とケンジは揃ってバスタブにたっぷりと張られた湯に浸かっていた。

「素敵な眺めだね」

「そうだな」

「あの夜は、終わった後シャワー浴びたんだけど、バスルームがどんなだったか、あたし覚えてないんだ」

「そうか……。その時はやつも一緒だったのか?」

「ううん。もうベッドでさっさと眠ってた」

「そんなやつか……」

「あたし、シャワーで、中に出されたモノを、必死で洗い流したんだよ、その時」

「そうか……」

「身体も、何度も石けんで洗った」

「シャワーの後、また板東は求めてきたんじゃないのか? おまえを」

「ううん。あの人朝まで起きなかった。あたし、ベッドの横のソファでローブを着て、あいつに背を向けて眠った。身体に触れられるのがいやだったから、ずっとびくびくしてて眠れなかったよ」

「真雪……」ケンジは切なそうな顔をした。

 

 真雪は顔を上げて、不必要に距離を取ったままのケンジに近づき、肌を触れさせた。ケンジは戸惑ったように緊張した面持ちで真雪から目をそらした。

「ケンジおじってさ、高校生の時うちのママといっしょにお風呂、入ったことあるの?」

「いや、さすがに両親がいる時にそれはしないだろ。でも一度だけあるぞ」

「そうなの?」

「両親が留守してた時にな」

「どうだった?」真雪は面白そうにケンジの身体に腕を回して言った。

 

 ケンジは赤くなって身体をこわばらせた。「あ、あんまりくっつくなよ。恥ずかしいだろ」

「当時もそんなやって恥ずかしがったの? ケンジおじ」

「マユが身体を洗ってるのをずっと首まで浸かって見てた。それから、風呂の中で……その、つ、繋がった」

 

「えー? 中でやっちゃったの?」真雪は思わず腕を解いた。

「で、でもな、もう一触即発状態だった俺は、マユを置いて一人でイっちまったんだ」

 

 ケンジは照れたように頭を掻いた。

 

「高校生だしね」真雪は微笑み、ケンジの両頬を両手でそっと包み込んだ。「再現してみる? あたしで」

「じょ、冗談やめろよ!」ケンジは慌てて大声を出した。

 真雪は笑った。

「さ、先に身体、洗うから」ケンジは焦った様子でそう言うと、股間を必死で押さえながらバスタブを出た。

 

 真雪は顔を上げて笑いながら言った。「洗ってあげようか?」

「え? い、いいよ」

 真雪もバスタブを出た。

「だから、遠慮しないでよ、おじさん」

 

 

 真雪はシャワーのノズルを手に取り、ケンジをチェアに座らせて肩から柔らかく湯をかけ始めた。そしてソープを手に取り、伯父の身体を優しく手で洗い始めた。

 

「な、なんだかフーゾクみたいだな……」

「あたしの身体で洗ってあげようか?」

「や、やめてくれっ!」

「フーゾクごっこ、やってみようよ」

「断る。かわいい姪にそんなこと、させられるかっ!」

「おじさんこそ、かわいいんだけど。反応が」

「うるさいっ!」ケンジは真雪からノズルを取り上げた。「真雪、後ろ向け。俺が洗ってやるから」

「もう、つまんないの」

 

 真雪は言われたとおりにケンジに背を向けた。ケンジは真雪の身体を優しく洗い始めた。

 

「ああ、思い出すな」真雪がため息交じりに言った。

「何を?」

「あの実習の後、帰ってからあたし泣きながら龍に抱かれたんだけど、その後こんな風にいっしょにお風呂に入ったんだ」

「へえ」

「あの時の龍の手の感触に、とってもよく似てる。すっごく優しく洗ってくれたんだよ、あなたの息子」

「そりゃそうだろう。龍はおまえを赦そうと必死だっただろうからな」

「そうだね。ほんとにそうだった」真雪は目を閉じて、ケンジの温かでなめらかな手の感触を味わっていた。

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