Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集 第12話

〈8.前戯〉

 

「さてと、」ミカがベッドの傍らにあったソファのセンターテーブルに、空いたビール缶を置いた。「適度に酔ったことだし」

「って、母さん夕食の時も結構飲んでたし、そんなの『適度』って言うのかよ」

「あたしにとっては適度なんだよ」

「わかったわかった」

「それにさ、少し酔ってた方が、感じやすいんだ。龍はどうだ?」

「そうだなー……。俺、未成年の時期に、何百回って真雪と繋がったから、素面(しらふ)でも十分感じるけど……。まあアルコールが入ると、ちょっとぽわんとなっていい感じに温まりはする」

「何百回なー……。そう言われると、なかなか赤面モノだな。おまえらそんなにやりまくってたのか」ミカは今更ながら実際に赤面していた。

 

「父さんも初体験の高二から、マユミ叔母さんと何度も繋がってたんでしょ? それこそ数え切れないほど」

「らしいね。親子とはいえ、よく似てるな、おまえら。でもおまえの初体験は中二の時じゃないか。ケンジよりずっと早熟だぞ」

「相手が真雪だからね」龍は笑った。

「おまえが生まれた時からの付き合いだからな。で、龍、」

「なに?」

「次のステージは、フェラとクンニだが」

「そうだね。流れ的にそうなるね」

「おまえ、舐めるのは得意なのか?」

「任せて。こないだクンニの名手修平さんに伝授してもらった」

「修平はクンニの名手なんだ」

「うん。修平さん、いつも夏輝さんをそれで激しくイかせてるらしいよ」

「へえ!」

「相当すごいらしい。もはや彼の唇と舌は、本来の機能を超えた器官だって夏輝さん言ってた」

「ほんとかよ」ミカは笑った。

「でも、俺、彼みたいにうまくできるかわからないな。ちょっと自信なくしてきた。百戦錬磨の父さんにいつも気持ち良くさせられてる母さんには物足りないかも」

「そんなことないよ。息子にしてもらう、っていう要素が加わって、別の意味で燃えるだろうさ」ミカは龍の頭を撫でた。

 

「横になって、母さん」

 ミカはゆっくりとベッドに横たわった。「楽しみだね」

 

 龍はミカに覆い被さり、軽いキスの後、身体を滑らせながら唇を彼女の鎖骨、乳房、腹へと移動させていった。そしてぴったりと肌に張り付いた小さなショーツを脚から抜き取り、豊かな茂みに顔を埋めた。彼はそのままミカの両脚を抱えてゆっくりと開かせた。

 

「ああ……」ミカは熱いため息をついた。

 

 龍の口がミカの秘部にそっと押し当てられ、彼の舌が谷間に挿入させられたとたん、ミカは激しく身体を硬直させて震えた。「あ、あああっ! りゅ、龍!」

 それから龍の舌は、まるで別の生き物のようにミカの中心で激しく動き回った。クリトリスを吸い、唇でヒダを挟み込み、さらに深い所まで舌が挿入され、何度も敏感な場所を刺激した。

 

「あああ! 龍! も、もうだめ! イってる! あたし、ずっとイってるっ! あああああっ!」

 びくびくびくっ! ミカの身体はずっと大きく痙攣していた。全身に汗が光っている。そしてそれ以上に彼女の身体の奥から湧き出した泉が、龍の口も、シーツもたっぷりと濡らしていた。

 

 

「やばかった……」ミカははあはあと肩で息をしながら潤んだ目を龍に向けた。「こんな刺激、あたし初めてだったよ。龍」

「ほんとに? 気持ちよかった? 母さん」

「もう病みつきになりそうだ。思った通り、ケンジとは別のタイプの感じ方だったよ」

「そう。良かった。でも俺がいつでもしてあげるわけにはいかないからね」龍はパチンとウィンクをした。「でもすごいね、母さん」

「何が?」

「まるで洪水みたいだったよ。俺、そのまま溺れちゃうかと思った」龍は笑った。

「ああ、あたし昔から興奮すると大量に分泌されるんだ、愛液」

「へえ!」

「おまえのテクがすごかったせいもあるけどな」ミカもチャーミングなウィンクをした後、悪戯っぽく笑って龍の頭を乱暴に撫でた。「じゃあ、今度はあたしの番」

「お手柔らかに」龍はそう言ってベッドに仰向けになった。

 

 ミカは黒いビキニの下着姿の息子を見下ろした。「おまえもケンジも本当によく似合うな、こういうシャープなビキニ」

「そう?」龍は嬉しそうに笑った。「でも、俺のこの趣味、元はあなたが買ってくれてたんですよ」

「ふっふっふ、この日が来ることを予見してたんだよ、あたし、ビキニ姿の龍に抱かれるってわかってたからね」

「嘘だよー」龍は笑った。

「ホントだよ。思わず脱がせたくなるってもんだよ」ミカは龍の下着に手をかけた。

「あ、母さん、ちょ、ちょっと……」

 

「どうした?」ミカは脱がせかけた手を止めた。

「あ、あんまり至近距離で見ないで」

「は? 何言ってるんだ。至近距離で見ないで咥えられるか」

「って言うか、やっぱりいいよ、俺、フェラしてもらわなくても……」

「今さら何を恥ずかしがってるんだ。さっきバスルームであたしに突っ込んだじゃないか、これ」

「い、いや、それとこれとは……」

 龍は赤面して股間を手で押さえていた。

 

 ミカは龍から身を離し、遠慮なく呆れた顔をしたまま腰に手を当てて言った。「どう違うってんだ。え?」

「だ、だって、お、俺のを母さんが口で咥えるんだろ? それって、ものすごく恥ずかしいよ」

「ばーか。いい歳して何言ってやがる。じゃああたしを母親だって思わなきゃいいじゃないか」

「そ、そういう問題では……」

 

「いいから手をどけろっ!」ミカは無理矢理龍の手を取り払うと、一気に彼のショーツを脱がせた。

「あっ! 母さん!」

 そしてミカは間髪を入れずに大きく跳ね上がった愛息のペニスを躊躇うことなく頬張った。

「や、やめてっ! 母さんっ! あ、あああああ!」

 

 龍の興奮は、いつもに増して急速に高まっていった。ミカは口を大きく動かしながら、その舌でペニスの裏側を執拗に舐め上げていった。

 

「うああああああーっ!」龍が大きく仰け反った。「イ、イくっ! 母さんっ! 口! 口放してっ! ぐうううっ!」

 ミカは息子の腰を両腕でがっちりと締め付け、龍のはち切れそうなペニスをさらに深く咥え込んだ。


「出、出るっ!」龍は身体を硬直させて叫んだ。

 びゅ……びゅくっ!

 

 龍の熱い精液が、母親の口の中に激しく噴出し始めた。

 

 びゅくびゅくびゅくっ! びゅるるるっ!

 

「だめっ! だめっ!」龍は射精をしながら、ひどく狼狽していた。「母さんっ!」

 

 

 反射がようやく収まり、ミカはそのペニスを愛しそうに丁寧に舐めた後、ゆっくりと口を離した。

 

「やめてよっ!」龍は真っ赤になって叫んだ。

「あははは! なに? なんでそんなに焦るかな」

 ミカは、口から溢れ、龍のペニスとアンダーヘアにまつわりついていた彼自身の白い液を、ベッドの枕元に置いてあるティッシュで拭き取りながら笑った。

「く、咥えられるだけで無茶苦茶恥ずかしいのに、なんでな、中に出させる?」龍は今までで最高に真っ赤になって、脂汗をかいていた。「ひどいよ、母さんっ!」

 

「おまえ、真雪の口にもなかなか出してやんないんだって?」

「当たり前だろ。そんなことできないよ。それに父さんも口に出すのいやがるんだろ?」

「あのな、おまえら誤解してるよ。オンナにとって、口に出されるのって、かなり興奮するものなんだぞ」

 龍は恥ずかしげに下を向いたまま言った。「真雪も時々そう言う……」

「そりゃあ、好きでもないオトコに無理矢理突っ込まれてぶっ放されても、苦しくて、まずくて、気持ち悪いだけだけど、大好きな男性の出すものを口で受け止められるっていうのは、至福の時じゃないか」

「……母さんもそうなの?」

 

 ミカは静かに言った。「真雪も、あの夜、板東に出されて、すごくイヤだったに違いないよ。だからおまえのを飲んで浄化したかった、ってことなんだろ?」

「聞いたんだ、真雪に」

「ああ。真雪は言ってた。龍の出すもの、というか中にあるものは特別なんだって」

「そう。そんなこと言ってたの」

「だからさ、お前が思ってる以上に、彼女はこの行為を嫌がってないんじゃないか? というか、逆に時々してもらいたい、って思ってるんだよ」

「そう……なのかな」

「いつも飲ませてやれ、とは言わないけど、あの子がその気になったら、時には口の中でイってやってもいいと思うけどね」ミカは優しく笑った。「にしても、」

「え?」

「おまえも、ケンジといっしょで大量に出すのな。何か白い乳酸菌飲料ごくごく飲んでるみたいだったぞ」

「そ、それも口に出すのをイヤがる理由なんじゃないかっ!」

 

 


「おじさん、あたしの前に立って」ベッドの端に座った真雪が言った。

「え?」

「それからその下着を脱いで」

「そ、それはちょっと、なかなか恥ずかしいぞ」

「板東はね、自分でパンツ焦って脱いで、あたしをこうしてベッドに座らせて、無理矢理咥えさせたんだよ」

「そうなんだ」

「でも、口に突っ込まれたあたしは、それを手で持って、自分で口を動かして刺激してた」

 

 ケンジは悲しそうな目で真雪を見た。「どうしてそんな気になったんだ?」

「条件反射、かな。結局その時も『もうどうなってもいい』って思ってたからね。自分は全然気持ち良くもなかったし、頭がくらくらしてて、やってることもよく解ってなかったんだ」

「そうか……」

「そして板東はあっさりあたしの口の中に出した

「え? の、飲んだのか? それ」

「ううん。飲まない。その時はちょっとだけ理性が働いたんだよね、きっと。中に出されたものは、全部吐き出した。とっても気持ち悪い、って思った。ディナーで食べた物も戻しそうになったよ」

「気持ち悪いよな、そりゃあ」ケンジは大きくうなずいた。

「親しくもない人、好きでもない人のものってだけで、強烈な拒絶感があった。だから酔ってて、頭がぼーっとしてても吐き出せたんだろうね」

 

「良かったな、真雪……」ケンジは独り言のように言った。

 

「だから、家に帰ってからあたし、龍にお願いして口の中に出してもらった。そしてそれを全部飲ませてもらったよ」

「龍の出したものは気持ち悪いって思わなかったんだな?」

「全然別ものだよ。感触も、味も、温かさも全然別もの。その時はあたし、自分の心を正常化するための薬だ、って言って、嫌がる龍に出してもらったんだ」

「薬……か」

「それ以来、あたし龍のを口に入れるの、大好きになったんだけど、龍は全然やってくれない」

「俺もいやだな、口に出すのは」

「らしいね」真雪は前に立ったケンジを見上げて言った。「大丈夫、ケンジおじが出す前に口を離すよ」

 

 ケンジはにわかにそわそわし始めた。「む、無理しなくてもいいぞ、真雪。イヤならく、咥えなくても……」

「なにおどおどしてるの? 気持ちいいんでしょ? フェラって」

「おまえに咥えてもらうのが、気が引けてるんだよ」

「大丈夫だってば。全然イヤじゃないから」

「出す前に離れろよ」

「わかってるってば」

「約束だぞ!」

 

「もう! おじさんしつこ過ぎ。出す瞬間に口を離すから、代わりにこの胸めがけて発射して」

「ううむ……。まあ、口に出さなくて済むのならそれぐらいは……。でもお前のその上質のおっぱいを汚すのも気が引けるな……」

「ありがと、褒めてくれて」真雪は笑ってケンジのショーツに手を掛けた。

「あっ、ま、真雪!」ケンジは慌てた。

「海棠家の男子って、ホントにシャイ」真雪はそう言って、飛び出したケンジのペニスをゆっくりと頬張った。

 

「ん、んんっ!」ケンジは苦しそうに呻いた。真雪は口を前後に動かし始めた。真雪の唾液と分泌されるケンジの液で、ペニスはぬるぬるになり、唇から幾筋も雫が垂れ落ちた。

 

「あ、ま、真雪……」ケンジはうっとりしたような声を上げながらも、険しい顔で目をぎゅっと閉じていた。

 真雪が口を前後に動かす度に、流れ落ちる液がぴちゃぴちゃと音を立てた。

 

 ケンジが身体を震わせ始めた。

「ま、真雪、真雪っ! も、もうイ、イくっ! 離せ! 口を離せっ!」ケンジが叫んで真雪の頭を両手で挟み込んだ。真雪は口からケンジの怒張したペニスを解放した。

 

 ぐううっ!

 

 ケンジが身体を硬直させて呻いた瞬間、真雪は再びケンジのペニスを喉の奥まで深く咥え込んだ。ケンジは驚いて目を見開いたが、すでに射精の反射は始まっていた。

 真雪の口の中で。

 

 びゅるるっ! びゅくっ! びゅくびゅくっ!

「あああああーっ! ま、真雪っ! だめだっ!」

 

 真雪はケンジの腰に腕を回して締め付け、しっかりと口を固定していた。そしてケンジの放つ大量の熱いエキスを、喉を鳴らして飲み下していった。ケンジはそのまま観念したように最後の反射まで真雪の裏切り行為に身を任せるしかなかった。

 

 

「真雪っ! 何で約束を破った!」ケンジが大声で言った。

「約束通りでしょ? 出す前に一度、口、離したじゃない」

「誰がもう一度咥えてもいい、って言った!」

「だって、フェラ好きなんだもん、あたし。温かくて気持ちいいし」

「俺はおまえの口には出さない、って言っただろ!」

 

 真雪は真っ赤になったケンジをベッドの横に座らせた。

「ごめんね、ケンジおじ。結果的に騙すことになっちゃって」

「勘弁してくれよ、真雪」

「でもさ、ああでも言って安心させないと、ケンジおじ、絶対あたしの口には出さなかったでしょ?」

「な、なんで出させる? しかもおまえ、出したモノ、吐き出さなかったじゃないか」

「だって、大好きな人の身体の中にあるものだもん。おいしかったよ。ごちそうさま」

「ごちそうさま、じゃないっ!」

「それにさ、あたしが今飲ませてもらったものって、龍がこの世に生まれる元になったものでしょ?」

「そ、そりゃそうだが……」

「大好きな龍を作ってくれたものを、あたし、自分の身体の中に取り込みたかったんだ。龍をもっと深く愛せるから」

「真雪ー……」ケンジは泣きそうな顔で真雪を見た。

「ごめんね、ケンジおじ。ありがとう。大丈夫。もうしないから」

 

 ケンジは真雪をぎゅっと抱きしめた。

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