Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集

第9話 実況タイム

《登場人物》

天道 修平(25)/ケネス・シンプソン(46)/海棠 龍(21)/海棠 真雪(25)

「ラジオをお聞きの皆さん、こんばんは。今夜から始まりました新番組『Sweet Sweet Bed Time』。これから約一時間、ごゆっくりお楽しみ下さい」

 

 甘くゴージャスなオープニング・テーマに乗って、明るい声がスピーカーから流れ始めた。

 

「この番組は、熱々のカップルがベッドタイムを楽しむ様子を、生で実況するプログラムです。記念すべき第1回は、シンプソン真雪、海棠龍のカップルです」

 

「『Sweet Sweet Bed Time』は、夢みるChocolate Time、Simpson's Chocolate Houseの提供でお送りします」

 軽快で愛らしい音楽と共に『Simpson's Chocolate House』のCMが30秒間流れた。

 

「改めまして、みなさん始めまして。当番組のナビゲーターを務めます天道修平です。画期的な企画で注目を集めそうな番組、みなさんたっぷりお楽しみください。今日のゲスト解説者はケネス・シンプソンさんです。ようこそ、ケニーさん」

「寄らしてもろてます。最初のゲストに呼んでもらえるやなんて光栄やな」

「そりゃあもう! この番組のスポンサーの店主ですからね。ケニーさん。で、いかがですか? この企画」

「ほんま画期的やな。そやけど修平、実況すんのに、放送禁止用語使えへんのやろ? 大丈夫かいな」

「確かにそれはとってもプレッシャーっすね」

「ま、番組そのものが放送禁止すれすれやから、BPOからいつストップがかかるかわかれへんけどな」

「そうですね」

 

「さて、実況を行うにあたり、恋人たちが愛し合うベッドに3台のカメラが向けられていて、私たちはそれらが捉えた映像をモニターで見ながら、熱い様子をお伝えするというシステムになっています」

「めっちゃ恥ずかしいやろな、本人たちにとっては」

「それが実況されて公共の電波に乗るわけですしねー。では、簡単に今日の甘い恋人たち真雪さんと龍くんについて、ご紹介しましょう」

 

「シンプソン真雪さんは、言わずと知れた『Simpson's Chocolate House』の看板娘の一人。今日の解説者のケニーさんの実の娘です。そしてお相手の海棠龍くんは彼女のいとこ。ケニーさんの奥様マユミさんの双子の兄、海棠スイミングスクールを経営していらっしゃる海棠ケンジさんの一人息子です。この二人、歳の差が4歳。真雪さんが高三の時に中二だった龍くんに告白して交際が始まったと聞いています。そしてその数日後には早くも深い関係に。以後ずっと熱々のカップルとして周囲にハートマークや花びらや熱気を振りまいています。さて、いかがですか? この二人のベッドシーンを今から実況するわけですが。お父様としては」

 

「ええ身体しとるからな、真雪は」

 

「いや、ええ身体、って……まるでエロ親父じゃないっすか、それじゃ……」

「見所はあいつの自慢のバストを龍がどうやって料理するか、っちゅうとこやな」

「それに、龍くんの発射する量と勢い、ってところですか」

「そうやな。そやけど、今回はゴム使用やろ?」

「はい。真雪さん、今はちょっと危ない時期らしくて」

「ま、それはそれでおもろいけどな」

「そうですね。あ、二人が部屋に入ってきました」

「手、繋いどるな。相変わらず仲良しやな」

 

「おっと! いきなりドアの前で抱き合い、今、キスをし始めました。濃厚なディープキスです。真雪さんの口から二人の唾液が垂れています。なかなかセクシーな光景です。いかがですか? ケニーさん」

「あの二人は身長差も丁度ええぐらいやし、角度も自然でええな」

「口を離しました。二人の舌先同士が唾液の糸で繋がっています。これもまた画に描いたようななかなか萌える光景です。そのまま二人はベッドに向かいます。服を脱ぎ始めました。そして……、おおっ! 真雪さんは黒のランジェリー。かなり色っぽいです。何より彼女のバストの大きさが目を引きます。いやあ、すごいですね、何度見ても」

「ほんまやな。迫力あんで、なかなか」

「龍くんはいつもの黒のビキニタイプの下着です。海棠家の男子は、龍くんのお父さんのケンジさんを始めあのタイプの下着を好んで穿くということです」

「よう似合うとるわな。龍もええ身体しとるし」

 

「二人とも黒い下着で大人の雰囲気です。そのまま真雪さんはベッドに仰向けになりました。ゆっくりと龍くんが彼女に覆い被さります。そして……またキスですね。さっきのよりも落ち着いた感じのキスです。二人の表情が穏やかです。癒されている、と言う表現がぴったりですね、ケニーさん」

「そやな。真雪は龍に抱かれとる時、一番安心できる、言うとったわ」

「素敵な関係ですね。あ、龍くんの口が真雪さんの胸に移動しました。フロントホックのブラが龍くんの手によって……今、取り去られました。真雪さんの大きな美乳がこぼれます。ため息が出るぐらいに美しいバストです。男であれば誰でもあれをみたら吸い付きたくなる、そんな膨らみです」

「龍はな、フロントホックのブラ、あんまり好きやないねんて」

「え? そうなんすか?」

「普通に後ろにあるホック外す方がええんやと」

「そそるじゃないっすか、フロントホック。外した瞬間おっぱいがこぼれるんすよ?」

「普通はそうやな。そやけどな、龍は真雪の背中に手を回して身体を抱きながらホックを外す方が好きや、言うとったわ」

「ほお……。外す時に抱きしめるんすね? なるほど。そう言われれば確かにフロントホックは味気ないかも……。ちょっと焦って脱がせる感があるしなあ……オトコのいやらしさというか……」

 

「そうそう、真雪の乳は左の方がちょっとだけ大きいんやで」

「えっ?! そうなんすか? って、ケニーさんなんでそんなことを知ってるんすか?」

「こないだ触らしてもろた」

「ええっ?!」

「右利きの龍は、最初に必ず真雪の右の胸に吸い付いて、左の胸を手で揉むんや」

「なるほど」

「そやから柔らかさもほんのちょっと違うんやで」

「そんなことがわかるぐらいに触ったんすか? お父さん」

「わいの娘やんか。そのくらい普通やろ?」

「いや、普通じゃありませんから。あっ! 龍くんが真雪さんの胸をくわえ込みました。ほんとだ、まずは右の胸」

「な、言うたやろ? 修平、おまえは左利きやから逆なんとちゃうか? 夏輝さんの胸いじる時」

「えっと……、そ、そう言えばそうですね……。と、見るうちに龍くん、今度は逆の胸に口を付けてしきりに舐めています。真雪さんが大きく仰け反って喘いでいます。やっぱり龍くん、真雪さんの感じる部分をちゃんと知っていて、触り方や舐め方も真雪さんに合わせてるんでしょう。長年連れ添ったカップルらしい、無駄のない愛し方です」

 

 『Simpson's Chocolate House』のCM。「たくさんの恋人たちをつないできたスイーツ。シンチョコのアソート。九つの愛のカタチ」

 

「さて、二人は今、身につけていたものを全て脱ぎ去り、ベッドの上で抱き合っています。真雪さんの表情が実にいいです。まさに癒されているという感じのうっとりとしたいい表情です」

「真雪が言うとったけど、龍の腕には魔力を感じるんやて」

「魔力?」

「龍の腕の使い方は絶品や、言うて。身体の一番安心できる場所を一番安心できる力で抱きしめてくれるんやそうな」

「そうなんすね。だからキスも、モミモミもせずにああやってずっと抱き合っていられるんすね。かなり長い時間二人は抱き合って揺れ動いています。真雪さんの身体はいつしか赤く上気しているように見えます。あ! いきなり真雪さんが龍くんを仰向けにして押さえつけました。見つめ合っています。二人とも柔らかく微笑んでいます。そして……、おお! でました! 真雪さんの妖艶なフェラ○オっ! くわえ込み、喉の奥まで吸い込み、舌で舐め上げ、先端に舌先を這わせ……。龍くん、喘いでいます! 激しく喘いでいます! やべえ! 俺も興奮してきた……」

「こらっ! はよ実況せんかい! ええとこなんやから」

「す、すんません。りゅ、龍くんはもう限界だという顔をしています! おっと龍くん、とっさに真雪さんの頭を両手で押さえました。そして無理矢理引き離しました。龍くんの持ち物は真雪さんの唾液でぬるぬるになり、びくびくと脈打っています。せ、先端からも少し液が漏れているようです。龍くん、大きく肩で息をしている。いやあ、危なかったんでしょうねえ」

「龍は口に出すのん、めっちゃ嫌がっとるからな。何か言ってるで、真雪に」

「真っ赤になって抗議しているようです。フェラ○オは、真雪さんはそれほど嫌いではないと聞いていますが、龍くんはどうしても抵抗があるそうです」

「っちゅうか、真雪の口の中に出すのんが嫌なんやろ?」

 

「ケニーさんは平気ですか?」

「それほど抵抗はないなあ。おまえはどうやねん、修平」

「俺も夏輝が欲しがった時は遠慮なく」

「噂によるとな、龍も、その父親のケンジも、出す量がハンパのうて、口から溢れ出すのんが気が引けてる、っちゅう話やで」

「そんなに出すんすか? 二人とも」

「ま、今夜のクライマックス後に確かめられるがな」

「そうっすね。今夜はゴム着用っすからね」

 

「さて、ベッド上では形勢が逆転しています。真雪さんが仰向けで、龍くんがクンニ○ングス攻撃をしているところ。すでに真雪さんは身体を大きくくねらせ、喘いでいます。とっても気持ちよさそうですねえ、ケニーさん」

「龍は真雪のツボをちゃんと知っとるんや。真雪のツボはク○トリスの上、フードの両側と、すぐ下の谷間の入り口や」

「って……なんでそんなことを知ってるんすか? お父さん」

「わいは娘の身体のことは何でも知っとる。父親やったら普通やろ?」

「いや、絶対普通じゃないっす。怪しすぎっす」

 

「お、また龍が仰向けになったで」

「ほんとだ。そうか、そのまま騎乗位っていうパターンすね」

「そうみたいやな」

 

「ご説明がまだでした。この『Sweet Sweet Bed Time』は一時間番組です。中継するにあたり、愛し合う当人たちには前戯からフィニッシュまで、長くても55分以内で収めてもらうように頼んであります」

「残り10分やからな、ちょっと慌てるわな」

「本当だったらもっと時間をかけて体位もいくつか変えながら愛し合うんでしょうけど、今日はちょっと慌てさせてしまっているようですね。ケニーさん、二人のメイクラブの平均時間は?」

「付き合うてすぐの頃は一回あたり30分ももたんかったらしわ」

「当時龍くん、若かったっすからね。何しろ中二」

「そやけど何度もイけるよってに、一晩に3~4回は繋がり直してたらしいで。ほんで合計2時間程度」

「……ほんとに若いっすね……。で、今はどうなんすかね」

「一回に時間掛けるようになって、平均すると3時間ぐらいや、言うとったわ、真雪のヤツ」

「じゃあ、今日はずいぶん端折ってるってことっすね」

「そういうこっちゃな」

 

「さあ、いよいよ二人が繋がります。仰向けになった龍くんの身体に真雪さんが覆い被さります。そうして、真雪さんが少し腰を浮かせました。龍くんはゴムを被せた自分の持ち物を手で握っています。そして……、ゆっくりと真雪さんの腰が落とされていきます、龍くん、とっても気持ちよさそうです。大きなため息をつきました。真雪さんもうっとりとした表情で龍くんを見つめています。少し涙目になっているようです」

 

「話によると、二人がクライマックスを迎えるのに一番好きなポジションがこの騎乗位。どうしてなんでしょう、ケニーさん」

「真雪は乗馬で国体に出場したことのある変わりモンや。ほんで、その姿に龍は惚れこんどる。自分が馬になってるんちゃうかな」

「なるほど。少しMっ気がある気もしますが……」

「真雪の腰の動きが、最高に気持ちええらしわ」

「それに、あの魅力的なバストが大きく揺れるのも見られますしね。あ、二人の動きが大きくなってきたようです。龍くんは目を固く閉じて苦しそうに歯を食いしばっている。もう間もなくなんでしょうか。真雪さんはリズミカルに身体を上下させています。確かに乗馬の時のような動きにも見えます。あっ、加速度的に動きが激しく、速くなっていっています! も、もうすぐクライマックスかっ! 龍くん目を固く閉じたまま口を大きく開き、声を上げ始めました! 真雪さんの身体からは汗がたくさん流れています! あっ! 真雪さんの動きが止まった! そして大きくぶるぶると身体を震わせています。イっているようです。りゅ、龍くんの腰がびくんびくんと上下に跳ね上がり始めたっ! 龍くんもイっているようです、イっています! おお! 二人同時! 真雪さんの身体が龍くんに倒れ込む! 恍惚の表情で二人は唇を重ね合わせました。そしてむさぼるようにキス! って、まだ龍くんの腰はびくびくしているっ! ずっと射精しているのでしょうかっ! すごい! まだ出しているようです!」

「相変わらずすごいやっちゃな、龍……」

「信じられません、あんなに長くイけるもんなんすね、男でも」

「龍やケンジは特別なんや。羨ましい限りやな」

 

 『Simpson's Chocolate House』のCM。「愛し合う二人の間にシンチョコのスイーツ。甘くとろける時間をあなたに……。」

 

「汗にまみれた二人の身体がようやく落ち着きを取り戻しました。それでもまだはあはあと肩で大きく息をしています。口を離した二人は至近距離で見つめ合っています。そして照れたように微笑み合っています。いやあ、いいですねえ。甘甘の恋人同士が愛し合った後の姿っていうのは実に美しい」

「ほんまやな。父親のわいが見てもなんや、こう、癒されるっちゅうか、幸せな気分になるわな」

「愛し合った後の余韻はフルコースのコーヒー、そしてその時の甘い会話がデザート。そう語っていたのは龍くん自身です。なかなかいい喩えですね。今、二人はそのスイーツとコーヒータイムを楽しんでいるところです」

 

 

「真雪さんがようやく身体を離しました。おおっ! すごい量! りゅ、龍くんの出した液がゴムの中に溜まっています。彼の腹に乗っかったそのゴム、まるで夜店の水風船ヨーヨーさながら! めちゃめちゃ膨らんでますっ! あ、あんなにたくさん、一体どこに溜まってたのでしょうかっ!」

「父親のケンジもそうらしわ」

「し、しかし、ということは、ゴムなしで愛し合った後は、大変なことになりますね。だって、真雪さんの中にあれだけの量を発射するわけでしょ?」

「繋がってても溢れ出す量やな。あれは」

「ですねー。ほんとにびっくり仰天だ」

 

 

「さて、お楽しみいただきました今日の『Sweet Sweet Bed Time』、今回の熱い恋人たちはシンプソン真雪さんと海棠龍くんのお二人、ケネス・シンプソンさんをゲスト解説者にお迎えしてお送りしました。提供は『夢みるChocolate Time、Simpson's Chocolate House』でした。ケニーさん、今日はどうもありがとうございました」

「また呼んでな」

「それでは皆さんも、素敵なベッドタイムを」

 

 番組のエンディングテーマが穏やかに消えた。

 

 修平が笑いながらコーヒー片手にケネスに向かって言った。

「……こんなラジオ番組があったらいいっすね」

「あるわけないやろ、あほっ!」

 

2013,10,13 初稿脱稿

 

※本作品の著作権はS.Simpsonにあります。無断での転載、転用、複製を固く禁止します。

※Copyright © Secret Simpson 2013 all rights reserved

《実況タイム あとがき》

 本来、僕の小説『Twin's Story "Chocolate Time"』シリーズの外伝は、ショートショートで時間をかけずに読了できる、というのが特徴でした。

 外伝第1集の12の作品の文字数平均は6000字足らず。文庫本換算で15~16ページほどです。ところが、外伝も第2集になると、次第に文字数が増え、第7作『追憶タイム』に至っては、文字数20000弱、文庫本換算52ページと、本編第4作『White Chocolate Time』を上回る内容になってしまいました。

 それは、とりもなおさず、僕の中で「外伝」という形式に対する認識が少しずつ変化してきたからに他なりません。本編の中で軽く触れられた出来事を、その時の主人公の気持ちや行動を含めて深く描きたい、という欲求が、やはり湧いてくるのです。

 そういう意味では、今回のこの『実況タイム』は特異な存在です。完全にエンターテインメント作品です。長さも第1集並みの6000字余り。文庫本換算13ページです。自分で言うのもなんですが、後先の作品に何も影響を与えない、『軽い』お話です。

 実は、修平とケネスとの出会いは古く、ケネスの息子健太郎が修平と友達になった中一の時に、修平が『シンチョコ』に遊びに来た時が最初です。でも、今までこの二人のカラミはほとんどありませんでした。二人ともなかなかお茶目な性格なので、こうしていつかは絡ませたいと思っていた組み合わせでもありました。

 そんなわけで、僕自身、実に楽しい気分で書き進めることができました。もちろんこんなラジオ番組が制作されることは絶対にないでしょうけどね。

 ちなみに、日本民間放送連盟(JBA)の放送基準の中に、次のような記述があります。

 

11章 性表現
(73) 性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
(74) 性感染症や生理衛生に関する事柄は、医学上、衛生学上、正しい知識に基づいて取り扱わなければならない。
(75) 一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも過度に官能的刺激を与えないように注意する。
(76) 性的犯罪や変態性欲・性的倒錯を表現する場合は、過度に刺激的であってはならない。
(77) 性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。
(78) 全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。
(79) 出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。

 

 はい、この『Sweet Sweet Bed Time』は完全にアウトですね。

 

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