Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第1集

第8話 AVタイム

「ええっ?! ミカさんがOKしてくれたのか?」

 健太郎は大声を出した。

 

「うん。ケンジさんも」

「えええっ?! ケンジおじもっ?」

 

 ――兼ねてから、恋人健太郎と人妻ミカとの禁断のラブシーンを見てみたいと強く思っていた春菜は、そういうシチュエーションのアダルトビデオの制作を勝手に決めた。出演者の了承をとった春菜は、龍にその撮影を依頼した。彼も快諾した。

 

 

 シンプソン健太郎(19)は、去年高校三年生の時から、同級生だった月影春菜と付き合っている。春菜は健太郎がかつて伯母の海棠ミカにその童貞を捧げたことを知り、またその後も何度か二人が繋がり合った事実を聞いて、実際に彼がミカを抱く現場を見てみたいと思っていた。

 ミカは健太郎の母親マユミの双子の兄ケンジの妻で、町のスイミングスクールをケンジと共に経営している。健太郎も幼い頃からそこに通い、インストラクターも務めているミカには今までに何度も指導を受けていて、思春期になった頃から彼女の水着姿に心を熱くしていたのだった。

 そして健太郎がミカを相手に初体験を済ませたのは高二の夏のことだった。

 

 ケンジとミカ夫婦の間には一人息子の海棠 龍(15-中三)がいた。健太郎にとっていとこにあたる龍は、健太郎の双子の妹真雪と昨夏から交際を始め、すでに深い仲になっていた。彼は中学に入ってからカメラや写真に興味を持ち始め、その腕とセンスはかなりのものだった。

 

 

「ケンがケンジさんの妻ミカさんを寝取る話よ。ケンは高校生の設定だけど、大丈夫だよね」

「ル、ルナ、君は本気でそんなこと考えてるのか?」

「ケンは前向きじゃないの?」

「い、いや、そ、そういうコトじゃなくて、き、君が平気かどうかってことを、俺、」

「前から見たいって言ってたじゃない、私。それに、これはお芝居だから」春菜はにっこりと笑った。「でも、本気で、いつものようにミカさんを抱いてね」

「な、何だよ、『いつものように』って。そ、そんなのお芝居って言うかよ」

 

 そんなわけで、主役健太郎、相手役ミカ、その夫で妻を寝取られる被害者ケンジの3人によるアダルトビデオの撮影が始まったのだった。健太郎19の夏だった。

  

 

「最初のシーンはプール? 春菜さん」龍がビデオカメラを手に言った。

「うん。そうだよ。インストラクターのミカさんをケンが口説くところ。キスシーンありだから」

「わかった」

 

 高校生の夕方のクラスが終わり、生徒たちは帰り支度をしていた。健太郎は水着のままプールサイドにいつまでも残っていた。

「何してるの? 健太郎。帰らないのか?」ミカが言った。

「え? あ、い、いや……」

 ミカは健太郎に近づいた。

「ミ、ミカ先生、」

「どうした? 顔が赤いよ」

「ミカ先生、ちょ、ちょっとロッカールームまで来てくれないかな……」

「いいけど……」

 

 健太郎はミカを連れてロッカールームに入った。もう他の生徒たちはみんな帰ってしまっていて、その部屋には誰も残っていなかった。

 

「ミカ先生……」健太郎はいきなりミカの手を握った。

 ミカは少し戸惑いながらも、呆れたように微笑みながら言った。「健太郎、なに? どうしたの?」

 

 健太郎は出し抜けにミカの身体を抱き、唇を求めた。

 

「え? あ、」ミカは驚いて身体を引こうと試みたが、健太郎の腕はそれを許さなかった。

 無理矢理健太郎は唇をミカのそれに押しつけた。「んんんんっ!」健太郎は固く目を閉じて、真っ赤になりながらミカの柔らかな唇を吸った。健太郎の水着の前の部分は大きくふくらんで、今にもはち切れそうになっていた。

 

 

「うまく撮れた?」ミカが腰に手を当てて言った。

「なかなかいい感じだよ、二人とも」龍がカメラのモニターを確認しながら言った。「ケン兄、本当にふくらんでるよ、前。実際に興奮してるの?」

「ば、ばかっ!」健太郎はまだ顔を赤くしたまま言った。

「キスの時、あたしが舌入れてやったからな。あっはっは」ミカが腰に手を当てて高らかに笑った。

「次は海棠家。キッチンのシーンからね」春菜が丸めたシナリオを振り回しながら元気よく言った。

 

 

 ――数日後。

 

「じゃあ、ちょっと行ってくるから」ケンジが言った。

「うん。気をつけてね。ケニーによろしく」

 ケンジはスイミングスクールの開校記念日の記念品の打ち合わせのために『シンチョコ』に出かけていった。

 

 ミカは夕食の支度のためにエプロンを身につけ、台所に立った。

 ケンジが出かけてまもなく、玄関のチャイムが鳴らされた。

「はい」ミカは玄関に出てドアを開けた。

 

 そこには高校の夏の制服姿の健太郎が立っていた。

 

「健太郎じゃない、どうしたの? こんな時間に」

「ミ、ミカ先生、は、話があるんだ」健太郎はまっすぐにミカの目を見た。「お邪魔していい?」

 

 健太郎はミカに招かれキッチンに入った。

「今日、生徒の一人からリンゴもらったんだ。ほら、でかいだろ?」ミカはまな板にのせられた大きな赤いリンゴを手にとって健太郎に見せた。

「ほんとだね」健太郎はミカに近づいた。そして何も言わず、またミカを抱きしめた。

「あ、健太郎、だ、だめ、」ミカの手からリンゴが床に落ちて転がった。

「ミカ先生! 俺、先生が好き。も、もう我慢できないんだ!」そう焦ったように言った健太郎はミカの唇を自分の口で塞いだ。そして床に彼女を押し倒して着衣越しにその豊かな乳房を乱暴にさすり始めた。

「あ、ああああ……」ミカは喘ぎ始めた。

「ミカ先生っ!」

「だ、だめ、だめよ、健太郎、あたしには夫のケンジが、あああああ……」

「好きだ、好きだ、ミカ先生っ!」

 健太郎はますます乱暴に唇を吸い、エプロンを脱がせた。そして彼女の穿いていたジーンズのベルトを抜き去り、ボタンを外し、ジッパーを降ろして、一気にジーンズを引き下ろした。

「ああっ!」ミカは抵抗したが、健太郎の力にはかなわなかった。

 

 健太郎の手がミカのショーツの中に侵入した。そしてその指が彼女の谷間に入り込み始めた。

 ミカはのけぞり、大きな喘ぎ声を上げた。

 

「もう、濡れてるじゃん。こんなに」

「け、健太郎! や、やめ……」

「俺、繋がりたい、ミカ先生と一つになりたい」

 

 はあはあと荒い呼吸を続けながらそう言う健太郎を見つめていたミカは、突然彼の首に腕を回し、自分に引き寄せ、唇を合わせた。そして夢中で吸った。「んん、んんんっ!」急な展開に健太郎は目を白黒させてうろたえた。しかし、すぐに彼もミカの唇を吸い始めた。

 

 

「なかなかベタな展開ですね、春菜監督」

「ストレートでいいでしょ?」

 龍が小声で言った。「でも、ケン兄と母さん、実際にもう相当興奮してるみたいだよ」

「わかってる。次がフィニッシュ。寝室だよ。いい? 龍くん」

「オッケー」

 

 一同は寝室に移動した。

 

 

「さて、」春菜が言った。「いよいよ抱き合って、クライマックスまでのシーンなんですけど、」

「ほ、本当にいいのか? ルナ」

「もうここまできて後に引けるのか? 健太郎」ミカが言った。

「引けるわけないよね、ケン兄」龍がおかしそうに言った。

「お、お前が言うなっ! だいたい、お、俺がこれからセ、セックスする相手ってのは、お前の母親なんだぞ? 平気なのかよ」

「俺は、今はミカという女性を母さんだと思ってないからね」

「はあ?!」健太郎は呆れた。

「芸術家、クリエーターっていうのは、物事の本質を見極めて仕事をするもんだ。公私混同はタブー。わかる? ケン兄」

「さすが龍くん。よく解ってるよ」春菜が嬉しそうに言った。

「勝手にしろ」健太郎は観念したように言った。

 

「クライマックスはどうします? ミカさん」

「え? どうって?」

「私としては、お二人が最高に感じて、同時にイく、っていう映像が撮れればいいんですけど、」

「俺、ミカさんの中には出さないから」健太郎がすかさず言った。

「どうして?」ミカが意外そうに言った。「今は安全期だ。遠慮するな」

「そんなの関係ないよ! だ、だって考えてもみなよ、」健太郎がムキになって言った。「旦那さんのケンジ伯父もいて、息子の龍も見てて、その上俺の彼女のルナも見ているんだ。そんな堂々と不倫めいたことなんかできるわけないじゃない!」

「そんなこと言って……。さっきからケン、ミカさんにいっぱいキスもしてるし、おっぱい揉んだり、あちこち触ったりして感じさせてるじゃない。今さら何言ってるの?」

「そうだそうだ。別に俺もかまわんぞ、健太郎」

「な、なにさらっと言ってるの? ケンジ伯父まで」

「じゃあお前は、」ミカが口を挟んだ。「あたしと繋がって、動いて盛り上がって、どうやってイくんだ?」

「演技でカバーする」健太郎はきっぱりと言った。「俺が『イく』って言って『うっ!』って呻き声を上げたら、ミカさんもいっしょにイく演技をしてよ」

「なんじゃそりゃ」ミカが心底呆れたように言った。「演技でイく、なんてAV嬢みたいなことができるか。まっぴらごめんだね」

「って、これAVなんでしょ? そういう映像が撮れさえすればいいんでしょ?」

 

「つまんない」春菜がぽつりと言った。

 

「だよな?」ミカが言った。「あたしは、お前にイかせてもらわなきゃ満足しないんだよ。観念しろっ!」

「そうだ。観念しろ、健太郎」ケンジも腕組みをして言った。

「またケンジ伯父までっ!」

「別に、二人ともいっぱい感じて、何も気にせずいつもどおりのフィニッシュでいいんじゃない? ケン」

「周りにこんなに目があったんじゃ、たぶん俺、イけないよ」

「あたしは別にイけるけど」ミカが言った。「かえって興奮するじゃないか」

 健太郎は真っ赤になったまま口をとがらせて反抗的に言った。「じゃ、じゃあ、ミカさんはイっていいよ。ミカさんがイったら、俺もイったふりをしてフィニッシュってことにするから」

 

 ミカはにやりとしてケンジと目を合わせた。ケンジも同じようににやりと笑って言った。「よし。わかった。健太郎、それでいいよ」

 

 龍がケンジに耳打ちした。「何か企みでもあるの? ひょっとして」

 ケンジも龍に囁いた。「ああ、期待してろ」

 

 

 寝室に入った健太郎は焦ったようにシャツのボタンを外し始めた。ミカも着衣を脱ぎ去った。

 二人はベッドに全裸で倒れ込み、貪るようにお互いの唇を求め合った。固く抱き合い、息を荒げ、脚を絡み合わせて健太郎とミカは激しくベッドの上で肌をこすり合わせた。

「ミカ、ミカっ!」

「ああ、健太郎!」

 ミカは仰向けになった。健太郎は彼女の両脚を持ち上げ、大きく開かせた。そしてゆっくりとその秘部に自分の大きく跳ね上がったものを近づけた。

 

 

「なんだかんだ言ってたわりに、ケン兄、もうはち切れそうじゃん」

「だよねー」

 

 

「入れるよ、入れていい? ミカ先生」

 ミカは顔を赤らめ、健太郎の眼を見つめながら小さくうなずいた。

 ぐっ! 喉の奥で呻いて、健太郎は一気に自分の持ち物をミカに埋め込んだ。

「あああっ!」ミカは大きく叫んで身体を反らせた。「健太郎、来て、もっと奥に……」

 健太郎は腰を激しく前後に動かし始めた。

「ああああ……」

 

 

 ミカが健太郎の耳に囁いた。「健太郎、ちょっとストップ」

「え?」

 ミカは健太郎と繋がったまま顔をカメラに向けた。「カメラ止めて、龍。春菜、ちょっといい?」

「はい。どうしたんですか? ミカさん」

「健太郎も聞いて。あたし、絶頂の時『イく!』って叫ぶから。それがクライマックスの合図ってことで」

「オッケーですっ!」春菜は親指を立てた。

「わかった」健太郎も言った。

 

 ミカはケンジに向かってウィンクをした。ケンジも親指を立てて笑った。

 

「じゃあ、最後のクライマックスのシーン、行きまーす!」春菜が叫んだ。

「よしっ! 来い! 健太郎」

「う、うん」

 

 

 健太郎は再び腰を大きく動かし始めた。

「イく、イくよー、ミカ先生、俺、もうイっちゃうー……」

「健太郎、出して、あたしの中に、奥深くに、あああああっ!」

「んっ、んっ、んっ!」健太郎は比較的冷静に腰を動かし、抑揚のない言葉を発した。「ああ、俺、もーすぐイくー」

 

 

「ケン兄、意外に演技、ヘタだね」龍がケンジに囁いた。

「まったくだ。でも、そろそろ演技してる余裕はなくなるぞ」

「そうなの?」

「龍、よく見てろ、そして撮り逃すなよ、健太郎が落とされるとこ」ケンジが龍に囁いた。

「わかった」

 

「あ、ああああっ!」健太郎がにわかに喘ぎ始めた。「ミ、ミカさん! 、だ、だめっ!」

 

 健太郎のペニスがミカにその根元を強く締め付けられ始めたのだった。

 

「あ、ああっ! う、動いてるっ! 回転しながら、か、絡みついてくるっ!」健太郎は焦りながら叫んだ。「で、出るっ! ほ、本当に出るっ!」

 

 固く抱き合い、汗だくになって激しく身体を揺さぶっていた二人は、ついに登り詰めた。「イくっ! イっちゃうっ! ぐううっ!」健太郎が呻く。「あたしも、イ、イくっ!」ミカは叫んで大きく身体を仰け反らせた。

 

 健太郎は慌ててミカからペニスを抜いた。しかし、遅かった。

 

 びゅびゅっ! 健太郎自身が握りしめたペニスの先端から、白い液体が勢いよく噴出し始めた。「ああああっ!」

 それは、コントロールを失い、ミカの胸へ、腹へ、そして首元へと次々に発射された。そしてそれはいつまでも続いた。ミカは健太郎の熱い精を浴びながら、恍惚の表情で荒い息を繰り返した。脈動が弱くなっても、どくんどくんと出続ける健太郎の精液は、ミカの陰毛をどろどろにしていた。

 

 

「おお、思い出すなあ……」健太郎のその様子を見ていたケンジが懐かしそうに言った。

「なに? 父さん、どうしたの?」

「いやなに、俺も若い頃、ミカにああやってぶっかけちまったことがあったんだよ」

「聞いた聞いた、真雪に。父さんもあんな感じだったの?」

「俺は酔ってたけどな。でも、状況はほぼ同じ」

 

 

「んっ、んっ、んんっ!」健太郎はまだ苦しそうな表情で脈動の快感に身を委ねていた。ミカは弾け出した健太郎の熱い想いをカラダ中で受け止め、満ち足りたようにため息をついた。

 

 

「すごい……ケンって、あんなにいっぱい出してたんだ……。ミカさんのお腹、どろどろになっちゃってる……」春菜が頬を赤らめて呟いた。「いいなー」

 

 

 ミカがおもむろに脈動の収まった健太郎のペニスに手を伸ばし、掴んで自分の谷間に導き、再び無理矢理挿入させた。「ミっ、ミカさん!」健太郎は慌てて叫んだ。

 ミカは両脚を大きく広げ、健太郎の腰に回してきつく締め付け、固定した。そして健太郎の身体を抱き寄せ、どろどろになっていた胸と腹にぬるぬると擦り合わせた。

 

「龍、しっかり撮れ、まだ終わってないからな」ケンジが龍に囁いた。

 

「あああああっ!」健太郎がまた激しく喘ぎ始めた。「だ、だめ、だめっ! ミカさん、ミカさんっ! うあああああっ!」

 

 ミカは健太郎の頭を抱えて、自分の方に引き寄せ、無理矢理口を自分のそれで塞いで彼の叫び声を封じた。

「んんっ、んんんっ!」

 

 健太郎とミカの密着した腰がいっしょに跳ね上がった。「んんんーっ!」健太郎がひときわ大声で呻いた。

 びくん、びくん、びくんっ!

 

 

「え? ま、またイってるの? ケン」

「そうだよ、」ケンジが言った。「これがミカの必殺技」

「ひ、必殺技?」

 

 

「んんんんーっ!」健太郎が口を塞がれたまま、最大級の呻き声を上げてカラダを硬直させた。腰がまだびくびくと上下している。

 

 

「す、すごい……」春菜が目を丸くして呟いた。

 

 

「これで終わり、だよね? 春菜さん」龍が春菜に顔を向けた。

「うん」

 健太郎はミカのカラダの上でぐったりしていた。まだ息は荒い。

「ケン、かなり消耗してるよね」春菜が言った。

「だ、出しちゃった、俺、本当に出しちゃった。しかも二回も……。ご、ごめんなさい、ミカさん」健太郎は収まりきれない息のまま、焦ってそう言いながらミカを抱きしめていた腕の力を緩めた。すると、ミカが言った。「ちょっと待て、健太郎」

「えっ?!」

「ま、まだ抜くな。大丈夫だから。もうちょっと余韻を……」

「え? あ、あの、いいの?」健太郎はうろたえてケンジの顔を見た。

「いいよ。健太郎。ミカの火照りが収まるまで抱いてやっててくれ」

「う、うん」

 

クリックで拡大

 

 

 抱き合っていた二人の息が収まると、健太郎はミカから身を離した。すかさずケンジが濡れタオルをミカと健太郎それぞれに微笑みながら手渡した。「その身体のどろどろ、拭き取りな」

 ミカはベッド脇にあったガウンを健太郎に手渡すと、自分も白い薄手のガウンを羽織った。「いいのが撮れた? 龍」

「もう最高だよ。俺も興奮しちゃった。真雪も連れてくるんだった」

「俺、相当恥ずかしかった」健太郎がまだ顔を赤くして言った。「ミカさん、なにあれ。俺、どうにかなりそうだったよ」

「ミカさんの必殺技なんだって」春菜が言った。

「必殺技?」

「そう」ケンジだった。「『必殺、搾精ダブルスクリュー』

「な、名前付きですかっ!」健太郎が呆れて言った。

「あのワザでイかない男はいないだろうな、おそらく」

「まいりました」健太郎はうなだれた。

 

「そんなに凄い技だったの? ケン」

「そ、そりゃあもう! 俺、途中まではイくことはないな、って思ってた。やっぱり人目があったからだと思う。でも、いきなりミカさんに吸い込まれて、中で俺のものが弄ばれ始めると、もう、一気呵成に高まっちゃって……」

「弄ばれる?」

「全体が包みこまれて、敏感な所に何かが絡みついて、それが激しく回転するように動くんだ!」

「すごい……ミカさん、今度私にも教えて下さい、そのワザ」春菜が興奮しながら言った。

「いいよ」ミカは笑いながら言った。

 

 

 ケンジが健太郎の肩に手を置いた。「あれは、滅多に経験できるワザじゃないんだぞ、健太郎」

「え? そ、そうなの?」

「俺でさえ、まだ数回しかやってもらってない」

「いつでもできるワザじゃないんだよ。あれ」ミカが言った。「体調とか、気分とか、いろんな条件が必要なんだ」

「深いですね……」春菜が感心したように言った。

「しかも二度イってたよね、ケン兄」龍がおかしそうに言った。「あれもこのワザの特徴なの? 母さん」

「ああ。でもあれはオプション。普通は一度だけ。最初にイく時、こいつあたしから抜きやがったから、お仕置きをしてやったんだ」

「結局カラダにかけたから、映像としては成功だったけどね」龍が言った。

「まあな。あたしもかつてのケンジを思い出したしね」

「でも、いっぱい出してたよね、ケン兄。普通じゃない量だったよ」

「おまえもだろ? 龍」ミカが言った。「海棠家の血を引く男は、生まれつき量が多いんだろうな」

 

 健太郎が恐る恐る言った。「でも、俺、本当にミカさんの中に出しちゃったけど、よかったの?」

「セックスは中に出してなんぼだ」

 

「もう、俺、へとへとだ」健太郎が言った。「二度イかされるとは思わなかったよ」

「だけど、健太郎って、やっぱりタフで元気だな、俺のやり方に比べて、何というか、こうストレートな感じだ」

「ケンジおじ、お、俺、本当にこんなことして良かったの?」健太郎はケンジと春菜を交互に見た。

「俺も萌えたよ。寝取られることで興奮するやつの気持ちがわかったような気がするよ。っていうか、なんだかお前を見てたら、若い頃の俺自身に見えてきて、懐かしい感じもした」

「ジェラシーとか感じなかった?」

「全然。健太郎が赤の他人だったら途中で引っぺがしてたかもしれないが、血の繋がったおまえがミカとセックスすることに嫉妬することはないよ。心配するな」

「ごめんね、ケンジおじ……」

 ケンジは微笑みながら健太郎の肩をたたいた。「おまえがそういう控えめで礼儀正しいオトコだから、余計に俺も許せてるってとこかな」

「ル、ルナは、実際のシーンを見て、何とも思わなかった?」健太郎が春菜に顔を向けてびくびくしながら訊いた。

「もう、思った通り。最高に萌えた。私。今、とっても興奮してる」春菜は健太郎に近づき耳に囁いた。「後で私を同じように抱いてね」

「いやあ、久しぶりだったってこともあって、あたしも燃えたよ。健太郎とのセックスは、これからも時々やってみたいね」

「ミカさんっ!」健太郎は真っ赤になった。

 

 春菜が言った。「ケンはさ、」

「え?」

「私や龍くん、ケンジさんに見られながらセックスするのって、実際のところ、どんな感じだった?」

「さっきも言ったけど、初めは緊張してうまくできないだろうな、って思ってた」

「演技も思いっきりぎこちなかったしな」ミカが言った。

「でも、ミカさんにまんまとやられちゃった」また健太郎は赤くなった。「それに、ミカさんを抱くと、安心できる、っていうか、ミカさんは俺の気持ちをうまくコントロールしてくれてた。そんな感じ。ずっと俺をリードしてた、って、見ててわかるだろ?」

「素敵な関係だね」春菜が微笑みながら言った。「私もそんな素敵な女性になりたいな」

「どんな素敵な女性なんだよ」健太郎が言った。

 

「ミ、ミカ、」ケンジが小さな声で言った。

「なに? ケンジ」

「お、俺、おまえを抱きたい、今すぐ……」ケンジはおもむろに自分の着ていたシャツのボタンを外し始めた。

 

「みんな、出ようか」春菜が健太郎と龍に言った。

「そうだね」

 

 春菜と健太郎、龍が、寝室を出てドアを閉めたとたん、中からミカとケンジの甘い喘ぎ声が聞こえ始めた。

 

2013,7,28 最終改訂脱稿

※本作品の著作権はS.Simpsonにあります。無断での転載、転用、複製を固く禁止します。

※Copyright © Secret Simpson 2012-2013 all rights reserved