【尿道球腺(にょうどうきゅうせん)】

 

・性的に興奮しているとき

 尿道球腺は、カウパー腺ともいい、前立腺と尿道海綿体の付け根にある左右1対、約1cmくらいの球形をした袋(ふくろ)状の器官で、約3cmの導管により尿道へとつながっています。

 射精する直前に分泌されるカウパー腺液[尿道球腺液]をつくり分泌します。

 

・尿道球腺のはたらき

 尿道球腺のはたらきは、カウパー腺液をつくり、射精される直前に分泌することです。

 カウパー腺液は、無色透明のぬるぬるとした粘りけのあるアルカリ性の粘液です。男性が性的に興奮すると、精液よりも先に、尿道に分泌され、外尿道口(がいにょうどうこう)に出てきます。先走り汁、ガマン汁ともいわれます。

 尿道をアルカリ性にするとともに、女性の膣(ちつ)内へ陰茎(いんけい)をスムーズに挿入させるはたらきがあります。

 

 また、膣内の酸(さん)性の環境をアルカリ性へと変えます。

 膣内は普段、外部から侵入してくる細菌を殺すため酸性になっています。精子も酸性状態では活動が悪く、死んでしまう精子もいるので、アルカリ性の環境が必要となります。精子は弱アルカリ性の環境では活発に活動できるようになり、射精後、膣から子宮へと卵子を目指して泳いでいけるようになります。

 

・カウパー腺液への精子混入

 性的に興奮し勃起(ぼっき)している状態では、カウパー腺液の中に精子がしみ込んでいることが多く、射精する前にカウパー腺液とともに分泌されます。人によっては、精子濃度が高く、元気な精子が混ざって分泌されることもあります。

 そのため、射精する前にも受精、すなわち赤ちゃんをつくることが可能です。

 避妊(ひにん)をするのであれば、膣と亀頭(きとう)が触れる前、勃起をすると同時にコンドームつけるなど、適切な避妊法をとる必要があります。

 

「性教育のおはなし SEIOHA」より引用