Twin's Story 11 "Sweet Chocolate Time"

《8 それぞれの癒し》

 

 ハワイのホテル。夏輝と修平の部屋。

 

「夏輝っ! 夏輝っ! 愛してるっ!」

「修平、だからあんたなんでそんなに焦るかな。龍くんのこと、とやかく言えないじゃん」シャワーの下で夏輝は心底呆れて言った。

「俺、おまえの裸見ると我慢できなくなるんだよっ!」修平は夏輝の背後から自分の身体をぴったりとくっつけ、すでに大きくなっているペニスを太股やヒップに擦りつけていた。「特におまえの濡れた髪や身体、その中でもこの脚が俺を興奮させるんだよ」修平はその場にしゃがみ込み、夏輝の濡れた太股にしがみついて頬を擦りつけ始めた。

「まったく……。高校ん時は『おまえのカラダ見ても立たねえよ』なんて言ってたくせに……」

 

 修平は再び立ち上がり、手を後ろから回して夏輝の乳房を大きく包みこんで優しく撫で始めた。「あ、ああ……」

「くすぐったくないか?」

「修平に触られると感じる。自分でやってもくすぐったいだけなのに、変だね」

 修平は次第に強く彼女の胸を揉みしだき始めた。「あ、あああん、しゅ、修平……」

「こっち向けよ、夏輝」修平は夏輝の身体を自分に向けさせた。そして、左腕で背中を乱暴に抱き寄せ、右手で彼女の濡れた髪を掻き上げて唇を吸い始めた。

 

 二人はシャワーの下で時間を掛けてお互いの唇を貪り合った。

 

 

 龍と真雪の部屋。

 

「そのドレッサーの手前に立って」龍は下着姿の真雪を、大きな鏡の前に立たせた。「そう、そのまま」龍はカメラのシャッターを押した。一歩右に移動して一枚、その場にしゃがんで見上げるようなアングルで一枚。

「じゃあ、ゆっくりとショーツを脱いでみようか」

「うん」

 真雪が手をショーツにかけ始めると、龍は何度も続けてシャッターを押した。「いつ見てもきれいだ、真雪」そして彼女が全裸になるまでに十数枚の画がカメラに収められた。「じゃあ、ベッドに横になって」

「龍、もういいよ。早く来て」真雪が言った。「あたし、我慢できないよ」

「わかってる」龍はカメラを三脚に固定し、高い位置にセットした。そしてベッドの上を狙って構図を決めた。「これでよし、っと」

「撮るんだ、二人でいるとこ」

「うん。父さんたちやケニーおじさんたちそれに修平さんたちのベッドシーンは今まで撮ってあげたけど、僕らのは誰も撮ってくれないからね」龍はそう言いながらワイヤレスのリモコンユニットをベッドの枕元に置いた。そして服を脱ぎ去り、小さな下着一枚の姿になった。「真雪、」

「龍、」真雪は両手を龍に伸ばして目を閉じた。

 

 龍は軽く真雪にキスした後、すぐに彼女の豊かな乳房にむしゃぶりついた。そして片方を手でさすり、もう片方の乳首を舐め、吸い、軽く咬んだ。「あ、ああああっ、りゅ、龍……」

 

 

 健太郎と春菜の部屋。

 

 ベッドのサイドテーブルに山のように積み上げられたアソート・チョコレート。その一つを手に取り、健太郎は春菜に手渡した。

「『シンチョコ』のアソートがこんなところで食べられるなんて……」春菜はそれを受け取って笑顔で言った。

「このホテルに卸させてもらってるんだ。グランパの時代からね」

「すごいね、シンチョコって」

「グランパやグランマ、そして父さんや母さんが誠実にがんばってるお陰だよ。俺はその流れに乗っかってるに過ぎない」

「そんなことないよ。あなただって一生懸命修行して、勉強して、しっかりした気持ちで跡を継ごうって思ってるんでしょ? それってすごく尊いことだと思う」

「ありがとう、ルナ」

 

「私ね、」

「ん?」

「ケンの匂い、大好き」

「なんだよ、いきなり」

「ケンの匂いってね、チョコレートとあなた自身の匂いが混ざったとってもいい匂いがするんだ」

「そうなのか?」

私があなたの家で初めてあなたの絵を描いた時、側に立ったあなたからその匂いがした」

「へえ」

「それも私がケンを好きになった理由の一つ。私にとってのフェロモン」

「なんだよ、それ」健太郎は笑った。

「水着、着てるんだ、今」春菜が小さな声で言った。

「え? 今日の昼間買ったっていう水着?」

「うん。ケンも穿いてくれる?」

「いいよ。どんなの買ってくれたの?」

 春菜は枕元から小さな包みを手に取り健太郎に渡した。そして恥ずかしげに言った。「これ穿いて、私を抱いて」

 

 健太郎はにっこり笑ってシャワールームへ入っていった。

 

 

 『シンチョコ』の離れ、ケネスたちの寝室。

 

「ミカ姉、」

「何? ケネス」

「今日は、珍しくビール飲まへんかったな」

「何にもないのに、明るい内から飲まないよ」ミカは笑った。「でもあたしさ、今まで何度かケネスに抱かれたけど、いつも酔った勢い、って感じがしてたんだよね」

「ええやん。ミカ姉らしゅうて」

「でもさ、よく考えたら、それって貴男に失礼だよね」

 

 ミカはこの時初めてケネスのことを『貴男』と呼んだ。

 

「あたし、こんな性格だからケネスに抱かれる時も、何かこう、半分遊びって感じでつき合ってるって思ってなかった?」

「そこまで真剣に考えたことあれへんな。そやけど、ミカ姉がわいとのセックスをそんな風に真剣に考えてくれてるって思たら、何や妙に嬉しゅうなってくるやん」ケネスは微笑んだ。「そない気い遣わんでもええがな。セックスはお互い様や。二人で気持ちようなれたらそれでええんちゃう?」

「ありがとう。ケネス」

 

 ミカは立ち上がり、ローブを脱いだ。黒いランジェリー姿だった。

 

「ええな。ミカ姉、今まさに女盛りっちゅう感じやで」

「ホントに? 嬉しいね」

「これ、普通やったら、人妻を寝取るシチュエーションやで」

「燃えるだろ?」

 

 ケネスもローブを腕から抜いた。「ほたら、いくで、ミカ姉」

「いいよ、ケネス。いつものように激しくね」

「わかっとるがな。ハニー」

 

 ケネスはミカを乱暴にベッドに押し倒し、口で彼女の唇を塞いだ。

 

 

 『シンチョコ』の離れ。広いリビングの暖炉の前。

 

「マユ、」

「ケン兄、」

「なんか、明るすぎるな」ケンジが少し恥ずかしそうに言った。

「ケン兄って、明るいところで見られるの、けっこう苦手だよね。でもいい身体してるんだから、もっと自信持ったらいいのに……」

「何の自信だよ」

「人に見せるの」

「は、裸を人に見せる機会がそんなにあるわけないだろ」

「スクールではいつも裸みたいなものじゃん」

「そ、それとこれとは……」ケンジは赤くなった。

「いつまでも、そんなシャイなケン兄でいてね」マユミは微笑んだ。

 

 黒いTバックのショーツだけを身につけたマユミは、同じように白いTバック姿のケンジの唇を吸った。そしてしばらく二人はお互いの唇を味わい合った。

 

初めてのキスは16の時だったね」

「そうだったな。ごめんな、あの時は。突然おまえを抱いて、無理矢理キスしちゃって」

「あの時も言ったけど、あたしとっても嬉しかったよ。あれからどきどきがずっと止まらなかった。っていうか、あれであたし、ケン兄に心を奪われたようなものなんだよ」

「実は俺も」ケンジはマユミの頬をそっと指で撫でた。「いろいろ……あったな、俺たちの中や周りで」

「そうだね」

「でも、おまえと別々の家庭を持ってからも、ずっとおまえが近くにいてくれて、俺、本当に恵まれてるって思う」

「あたしもそう思うよ。あたしにとってはケン兄って、大好きなチョコレートと同じ」

「何だよ、その喩え」

「毎日食べてたら身体壊すけど、時々とっても食べたくなる」

「なるほどな。なかなか絶妙な喩えだ」

「もし二度と食べられなくなったら、あたしきっと気が狂っちゃう」マユミは笑った。

「大げさだぞ、マユ」

「ケニーはご飯。ケン兄はチョコレート。あたしの中ではそうなんだよ」

「俺も似たようなものかもしれないな。ミカとマユとの関係はね」

 

 ケンジはそっとマユミの身体を横たえ、ゆっくりと自分の身体を重ね合わせた。そして長く、熱いキスをした。

 

 

「夏輝! 夏輝っ!」修平は叫びながらベッド上で四つん這いになった夏輝をバックから攻めていた。「あ、ああああ、夏輝夏輝っ!」

「あああ、修平っ! あたし、もうイっちゃう! だめ、あ、あああああっ!」

 修平は激しく腰を前後に動かした。「好きだ! 夏輝! 愛してる! おまえを、んんんっ!」

「あたしも、修平、大好きっ! ああ、もっと、もっと奥に、ああ……!」

「で、出る、夏輝、出すぞ、俺、ああ……」「いいよ、修平、イって! あ、あたしもすぐに!」

「ぐ……うっ!」修平の身体が激しく震えた。ビクンッ! 夏輝の身体も大きく跳ね上がった。

 

「龍! 龍! イっちゃうっ!」

「あああああ、お、俺も、真雪、真雪っ!」

 仰向けになった龍の身体に跨がり、真雪は激しく身体を揺すっていた。

「あっ、あっ、あああっ!」真雪が大きく目を見開いた。「な、中に、あたしの中にっ! 龍、龍龍龍!」

「真雪っ! で、出……るっ! ぐううううっ!」龍の身体が硬直した。

 

「ケン! んんんっ!」下になった春菜が顎を突き出して目を固く閉じたまま呻いた。

「ルナ、ルナっ!」健太郎は春菜の脚を両手で抱え上げ、腰を大きく動かしている。「お、俺、イ、イく! イくよ!」

「あ、あたしも! ケン、ケン! イって、イってっ! あああああ!」がくがくがく! 春菜が身体を大きく仰け反らせた。

「イ……く! イくーっ! ぐうううっ!」健太郎の身体が大きく痙攣し始めた。

 

「ケネスっ! ケネスーっ!」下になったミカが叫び続ける。

 ケネスは歯を立てていたミカの肩から口を離すと同じように叫び始めた。「ミカ、ミカ姉! イ、イくっ!」

 

「マユ、マユっ! だ、出すよ、マユっ!」大きく腰を動かしながらケンジは喘ぎながら言った。

「イって、イって! ケン兄、あたしの中でイってっ!」

 

 そして恋人たちは重ねた身体を大きく波打たせながら、同じように弾けるような絶頂を迎えた。