Twin's Story 外伝 "Hot Chocolate Time" 第2集 第12話
夫婦交換タイム
1.幸せな夫婦|2.フラッシュバック|3.交渉|4.キス|5.ホテル|6.浴室|7.ドリンク|8.前戯|9.昔話|10.クライマックス|11.もう一つのクライマックス|12.余韻
〈5.ホテル〉
▼
ミカは出し抜けに、下着姿になっていた龍を突き飛ばし、ベッドに押し倒した。
「あっ!」龍は不意をつかれて慌てた。「ちょ、ちょっと、母さん! 乱暴しないでよ!」
ミカは息子をベッドに押さえつけたまま、彼の顔をのぞき込んで言った。
「龍、おまえさ、あたしが母親じゃなくて、もしこんなことになったら、どうしてた?」
「この年の差で?」
「そう」
「母さんが母親でない女性だったら、ってこと?」
「うん」
「何が言いたいの?」
「あたしをオンナとして抱きたくなるか、ってことだよ」
龍は腰をもぞもぞし始めた。
「その弾けた性格の女性が、こうして俺といっしょにホテルに入ってくれるか、ってことがまず疑問だけどさ」
「何だよ。おまえ弾けたオンナは苦手か?」
「いや、そういうこと言ってるわけじゃなくてさ、何て言うか、親子ほどの歳の差で、明らかにリードしたがりな女性が、俺に抱かれたくなるか、ってことの方が、俺、あんまり想像できないっていうか、んんっ!」いきなりミカは龍の唇を塞いだ。そして唇を押しつけながら彼の舌を吸い込み、自分の舌を絡ませた。
しばらくして口を離したミカは、龍の頬をぎゅっとつねって言った。「おまえ、理屈っぽいな」
「なんだよ」
「つまり何か? あたしみたいなオンナじゃ、セックスする気になれないっつーのか?」
「どうしてそうなるかな」龍は眉間に皺を寄せて言った。「そんなこと一言も言ってないじゃん」
「だっておまえ、さっきからあれこれ理由つけて、あたしを抱くこと拒否ってる風じゃないか」
龍は突然、上になったミカの背中に腕を回し、抱き寄せてごろりと横になった。そして今までとは反対に彼女の身体を押さえつけながら、そのつややかで肉厚の唇に吸い付き、舌で柔らかく舐め始めた。
「りゅ、」ミカが言葉を発しようとする度に龍はその口を塞ぎ、大きく交差させながら舌を吸い込んだ。そして背中に回した腕にさらに力を込めながら、自分の舌をミカの舌に絡ませた。ミカは小さく呻きながら自分の太ももを彼の股間に滑り込ませ、ゆっくりと彼の足と擦り合わせた。
口を離した龍が目の前の母親の顔を見つめた。「あなたは十分魅力的です」そして笑った。「母親であろうとなかろうと、こんな人が目の前にいたら俺は抱きたい」
「嬉しいね」
「シャワー、先にいいよ、母さん」
「いっしょに入るぞ。バスルームでもいろいろやりたいんだ、あたし」
「そう?」
二人はベッドから降りた。
▽
落とされた琥珀色の照明が、ベッドを艶めかしく浮き上がらせている。その大きなベッドの真ん中に下着姿で横になった真雪は言った。
「あたし、あの夜、ホテルの部屋に入るとすぐ、こうしてシャワーも浴びずに、ベッドに横になったんだ。そしたらすぐに板東が挑んできた」
真雪に頼まれて自らも服を脱ぎ、下着だけの姿になったケンジは、ベッドの端に座って、仰向けになった真雪を見下ろしながら言った。
「どんな気分だった?」
「どきどきしてた。でもその時服を脱ぎ始めてた男を板東だって意識してなかった気がする」
「え? どういう意味だ?」
「結局さ、あたしがそんな風になったのって、カラダの癒しを求めてたってことじゃん。だから、別に相手が板東である必要はなかったってことなんだよ」
「ふむ……」ケンジは顎に手を当ててうなった。「それも酒のせいなんだろうな」
「たぶんね。その時単に都合良くあたしの近くにいて、そんな気になってる男が板東だった、ってこと。すっごく乱暴な言い方だし、龍にもとっても申し訳ないと思うけど、とにかくカラダの火照りを何とかしたかった、っていう状態だったね。お酒に酔ってて『もうどうなってもいい』って思ってた」
「そうだったんだ……」
「シャワー、浴びるね、ケンジおじ」真雪は身体を起こした。
「その夜を再現するのなら、そのままがいいんじゃないのか? 真雪。そいつはすぐおまえに手を出したんだろ?」
「え? だって、抵抗あるでしょ? 洗ってない身体を舐めたりするの」
「俺は平気だ。大丈夫」ケンジは真雪の身体をそっと抱いて、再び仰向けに横たえた。「で、最初に、どうされたんだ?」
「下着姿で覆い被さってきて、キス、そしてあたしのランジェリーを脱がせて大事な所を舐めたり指で刺激したり……」
「その時身につけてたのも、この黒のランジェリーだったのか?」ケンジは真雪の身体を眺めながら言った。
「うん。あれはもうへたっちゃったから捨てたけど、新しく買い直した。この日のために。ほとんど同じやつだよ」
「フロントホックじゃないか。板東を誘惑してるように見えるぞ」
「あいつもそう言ってた。でもこれは偶然。とっても嫌な偶然」真雪は小さなため息をついた後、微笑みながら言った。「おじさんもムラムラきちゃう? こんなの着てたら」
「そうだなー」ケンジは困ったように顎に手を当てた。「相手次第、ってとこかな」
「あたし、似合ってない?」
「いや、かなり似合ってると思うぞ。似合ってるというか、真雪が黒のランジェリーを身につける、ってかなり意外だし、その意外性が、普段から知ってる女性だけに興奮しちまう。おまけにフロントホックだし」
「ケンジおじ、抱いて」
ケンジは顔を赤らめて、早口で言った。「イヤならイヤ、ってちゃんと言うんだぞ、真雪」
真雪はくすっと笑った。「きっと最後まで言わないよ、イヤだなんて」
ケンジは柔らかく真雪の身体に自分の身体を覆い被せた。そしてゆっくりと抱きしめながら愛おしむように真雪の唇を舐め、吸った。真雪の身体はどんどん熱くなっていく。
んん……。真雪は小さく呻いた。ケンジはずっと優しく、時間をかけてその唇を愛した。
「もうとろけそう……ケンジおじのキスって絶品だよ。ほんとに心から癒される。それに、もうどんどん溢れてる。どうしよう……すごいよ」
ケンジは一度身を離し、にっこり笑って真雪の顔を見た後、彼女が身に着けていたブラを取り去り、ピンク色をした乳首を吸った。「ああん……」真雪は身体を仰け反らせた。ケンジはそのままその暖かく大きな手で二つのふくらみを包み込んでさすり、乳首を指で挟み込んで刺激した。
「あ、ああ、ケンジおじ、いい、いい気持ち……」
「知ってはいたけど、実際に見たり触ったりすると、おまえのバストって最高だな」
「そう?」
「ただ大きいだけじゃなくて、カタチもいいし、柔らかさも、肌触りも、弾力も申し分なしだ」
「マユミママ譲りなんだけどね。どう? ママと比べて」
「マユのバストも上級品だが、おまえのはさらに上を行くよ。しかし、」ケンジは少し照れたように赤面した。「おまえ、マユと同じ匂いがするんだな」
「そうなの? まあ、母娘だしね」
「なんだか、強烈に甦るよ。俺たちが若かった日々が」
「ケンジおじとマユミママって、二年半も付き合ってたんでしょ? 高校の時」
「そうだな」
「考えてみれば幸せな恋人同士だよね。いっつも一緒に暮らしていたわけだし」
「確かにな。俺たち、毎晩、チョコ食べて、コーヒー飲んで、ベッドで抱き合って眠ってた。実にワンパターンな日々だったな」ケンジは笑った。
真雪も笑った。「それってとっても贅沢で最高に幸せな日々じゃない。恋人同士なら」
「そうだな、幸せだよな。確かに」ケンジは昔を思い出すような目をした。
「俺、マユが初めての相手だったけど、女の子のカラダの神秘をいろいろと教えられたよ」
「カラダの神秘?」
「一番衝撃的だったのは、全身が性感帯になる、ってこと」
「衝撃的?」
「俺さ、初めはマユのおっぱいや大事な部分にばっかり熱心になってた」
「まあね。高二男子だったらそんなもんでしょ」
「でも、首筋も、耳たぶも、くるぶしも、全部感じてた、マユ。どこを触っても、舐めても気持ちいいって言ってた」
「それは相手のやり方次第なんじゃない? 触り方や舐め方の問題だよ」
「うん」
「それに絶対条件は、相手が心を許せる人だってことだよ。うん。これは絶対」真雪は念を押した。
「そうだな。その通りだ」ケンジはうなずいた。
真雪はケンジの手を握った。
「ケンジおじは、ママのおっぱい、好きだった?」
「今でもな」ケンジは笑った。「やっぱり、何だな、オトコってのは、赤ん坊の頃に食欲を満たしてくれたそれには、強烈な愛着を持ってるってもんだ」
「えー、そんな理由?」
「マユやミカのおっぱいに顔埋めてると、心から癒されるんだ。絶対すりすりしたくなる」
「龍といっしょだ」真雪も笑った。
「だから、おまえのように大きくて最高級のおっぱいだと、きっと思いっきり癒されるな」ケンジは真雪の乳房にそっと小指を這わせた。
「でもね、板東はブラを外しても、その時あたしの胸には指一本触れなかったんだよ」
「そうなのか?」
「結局早く入れて、溜まってたものを出したかったんだよ」
「なるほどな」
ケンジは真雪のしっとりと湿ったショーツをゆっくりと脱がせた。そしてそっと舌を彼女の谷間に這わせた。
「ああっ、ケ、ケンジおじ……」真雪はまた大きく身体を揺らした。「は、恥ずかしいよ、あ、洗ってないし、何だか……」
口を離してケンジは上目遣いで言った。「俺がきれいに清めてやるよ。任せろ」そしてまた舌を這わせ始めた。
ケンジはそのままずっと舌で谷間とその入り口にある小さな粒を柔らかく舐めた。真雪の身体の中で熱い奔流が渦巻きはじめ、それはまもなく一気に表面に噴き出し始めた。「あああああーっ!」
真雪の身体が大きく震え始めた。「イ、イっちゃうっ! もうすぐイっちゃうっ! ああああーっ!」
ケンジは舌でずっとクリトリスをデリケートに転がしながら、右手の中指と薬指をそっと谷間に深く差し入れた。そしてわずかに震わせながら、内壁をゆっくりと柔らかく押したり撫でたりした。
「ああああーっ! イ、イくっ!」がくがくがく……。真雪はしばらくの間、大きく痙攣していた。
やがて真雪はぐったりとその身体から力を抜き去った。
顔をあげて、ぬるぬるになっていた口を拭って、ケンジが訊いた。「イけた? 真雪」
真雪は大きくうなずいた。「も、もう、すごいよ、ケンジおじ。こうでなくちゃね」
ケンジは真雪の横に同じように身体を横たえ、軽くキスをして真雪の髪を撫でた。
「板東はおまえをイかせてくれなかったのか?」
「うん。キスも気持ちよくなる前にやめちゃうし、っていうか、あいつのじゃ気持ちよくなんかなれっこないけど。それにクンニも申し訳程度、って感じだった。とりあえず奉仕してあげます、って感じ。舐め方も単調。指の出し入れも乱暴で痛いだけだった」
「女性の扱いには慣れてたはずだろ? だって、何人もの実習生を引っかけてた男だったわけだし」
「どうなのかな。いつもそうしてたんじゃないの? 自分のことしか考えないやつだし」真雪は肩をすくめた。「ただ、あたし、気持ちは全然盛り上がらなかったけど、酔ってたし、身体への刺激をその時は欲しがってたから、あの男のそんな行為でも、とりあえず身体は熱くなってた」
「そういう無骨なやり方でも、真雪の身体は反応してたんだ」
「それもきっとお酒のせいだね。でも、イけなかった。あとちょっと、って時に、板東はそれをやめたんだ」
「真雪をイかせたくなかったってこと?」
「たぶんあの男にはわからないんだよ。オンナがイくってどういうことなのか。結局相手をよく見てないってことなんじゃない? あたしイってもいないのに、『イっちゃったんだね、かわいいな』なんて言ってたし。相手がどんな感じ方をしてるか、ってことを気に掛けることなんて、やったことないんじゃないかな」
「自分だけ気持ちよくなればいい、って感じだな」
「だよね。絶対そうだよ」真雪はケンジの目を見て口角を上げた。「ケンジおじも、イきたいでしょ? そろそろ」
「え?」
「だって、もうはち切れそうになってるよ」
ケンジは慌てて下着越しに股間を押さえた。