外伝集 Hot Chocolate Time 第3集 第8話「初体験をなめるなよ」

《二十五年目の初体験》

 

 真雪は寝室のドアを後ろ手に閉めて、ベッドに座っている龍をじっと見つめた。龍は立ち上がった。真雪は彼に駆け寄った。「龍!」「真雪っ!」そして二人は再び熱いキスを交わした。

 龍と真雪はそのまま大きなベッドに倒れ込んだ。

 上になった真雪が口を離して言った。「ねえねえ、龍くん」

「な、なんだよ、いきなり『龍くん』って」

「あたしたちも『初体験』しようよ」

「えっ?」

「よくわからなかった初体験をここで再現して、記憶にとどめたいな」

「いいね。それ」

「でも、大丈夫? 龍は」

「何が?」

「だって、今日はこれで三度目でしょ? イけそう?」

「任せてよ、マユ姉。僕まだ元気いっぱいだよ」

「きゃー!」真雪は恥ずかしそうに叫んで龍の身体を抱きしめた。

「龍くん、脱がせて」真雪はベッドに横になったまま赤くなって言った。

「う、うん」龍は恐る恐る真雪の背中に腕を回し、ブラのホックに手を掛けた。「あ、あれ? どうやって外すんだっけ?」

「こうだよ、あ、」真雪が手を貸そうとした瞬間、ホックが外れ、真雪のバストがぷるんと震えてこぼれた。龍はそっと肩ベルトに手を掛け、ゆっくりと彼女の腕からそれを抜き去った。

「マユ姉のおっぱい……大きくてきれい……」龍はうっとりとした声でそう言った。

「さ、触ってもいいよ、龍くん」

「いいの? マユ姉」

「うん」

 龍は両手をそっとその大きな二つのふくらみに乗せた。

「あ、あったかい。すごく気持ちいいよ、マユ姉」

「なんだか、ちょっと恥ずかしいな……」

 龍は手で真雪の乳房をさすりながら、その谷間に顔を埋め、頬を擦りつけ始めた。「マユ姉ー」

「ふふ、かわいいね、龍くん。相変わらず」真雪は龍の頭を優しく撫でた。

「マ、マユ姉……」龍は動きを止めて上目遣いで真雪の顔を見た。

「どうしたの?」

「あ、あの、す、吸ってもいい? おっぱい……」

「いいよ。大丈夫」

「んっ!」龍はこらえきれずに口で真雪の左の乳首に吸い付いた。左手では、右の乳房を激しく揉み始めた。

「ああ、あああ、龍くん、いい気持ち……」真雪は目を閉じて喘ぎ始めた。

 龍の手が真雪のショーツに掛かった。

「マユ姉、いい?」

 真雪は顔を両手で覆ったままコクンとうなずいた。

 龍はゆっくりと真雪のショーツを脚から抜き去った。真雪は膝を立てて固く脚を閉じていた。

「龍くん、お願い、優しくしてね……」

「うん。大丈夫。マユ姉。でも、いやだったらいつでも言ってね」

 龍は真雪の両膝に手を置いて、力の入った脚をゆっくりと開かせていった。真雪はずっと顔を覆ったままだった。

「ああ、マユ姉、きれい、きれいだ……」

「やだ、恥ずかしい……」

「さ、触ってもいい?」

 真雪はまた小さくうなずいた。

 龍はそっと手を伸ばし、真雪の谷間に指を這わせた。

「あっ!」真雪は小さく叫んだ。

 龍はそのまま人差し指を谷間に挿入させた。

「い、いやっ!」

 龍ははっとして手を引っ込めた。「ご、ごめんなさい、マユ姉。痛かった?」

「ううん、痛くない。痛くはないけど、何だか変な感じ……」

 龍は真雪の顔に自分の顔を近づけて、覆っていた彼女の手をそっとどけた。そして、ひどく申し訳なさそうに言った。

 「いやならやめるよ。僕、大丈夫。我慢できるから」

 真雪は泣きそうな表情をして応えた。「平気だよ。あたし龍くんに触ってほしい、もっと」

「ほんとに?」

「うん」

 龍はもう一度指を谷間に入り込ませた。「あったかくて、柔らかくて、とっても気持ちいいんだね、マユ姉の中……」

「龍くん、あなたのものを入れてみて、そこに」

「えっ?」

「あたし、覚悟はできてる。龍くんと繋がりたい。ひとつになりたい……」

 龍は身を起こした。そして枕元に置いてあった小さなプラスチックの包みを手に取った。

「ちょっと待ってて、マユ姉、すぐだから」

「うん」真雪はまた脚を閉じた。

 龍はためらいがちに下着を下ろし、真雪に背を向けて、大きくなったペニスにコンドームを被せ始めた。

 装着が終わった龍は、下着を脚から抜いて再び真雪の身体に覆い被さった。真雪はゆっくりと脚を広げた。

「いい? マユ姉。入れるよ」

「うん。きて、龍くん……」

 龍はコンドームの被せられたペニスの先端に自分の唾液を数回塗りつけると、そっと真雪の谷間にそれを押し当てた。

「あ……」真雪が小さく声を発した。

「だ、大丈夫? マユ姉」

「だ、大丈夫……」真雪の身体は小さく震えていた。

 龍はゆっくりと腰を前に動かし始めた。龍のペニスが真雪の谷間を割って中に入り始めた。

「あ、あ……いっ!」

 はっ! 龍は思わず半分程入っていた自分のペニスを真雪から抜いた。

「ご、ごめんなさい! マユ姉。痛いよね?」

「だ、大丈夫、ちょっときつい感じがしただけ。痛くないよ。龍くん。遠慮しないで入れて」

「う、うん」

 龍は再び挿入させ始めた。長い時間がかかって、それは真雪の中に完全に埋没した。

「は、入っちゃった……」龍は二人の結合部分を見下ろし、小さな声で言った。

「龍くん……。うれしい。あたしたちやっと繋がったね」真雪の目に涙が宿った。

 龍は真雪に身体を重ね、照れたように言った。「マユ姉、ぼ、僕も、嬉しい。マユ姉が僕のものになった、ようやく。夢みたいだ……」

「龍くん、動いて。いっしょに気持ち良くなろうよ」

「うん」

 龍は腰を前後に動かし始めた。「んっんっんっ!」

「ああ、ああああ……」

 龍はその動きを続けながら上気した声で言った。「マユ姉、痛くない? 大丈夫?」

 真雪も喘ぎながら言った。「うん。平気。痛くないよ。気持ちいい。もっと動いて、龍くん、龍くんっ!」

 ベッドがぎしぎしと激しく音を立て始めた。

 

 ――重なった龍の耳元で真雪が囁いた。「龍、外して」

「え?」龍も囁き返した。

「ゴム、外して、お願い」

「真雪?」

「あなたの想いのエキスが、ほしい。中に」

「わかった」

 龍は身体を真雪に押し付けたまま一度ペニスを抜き去り、コンドームをばちんと外して、素早くまた真雪の中にぬるりと挿入させた。

「んっ! ……そのまま、イって、龍」

「うん」

 

龍は腕を突っ張り、腰を激しく動かしながら喘いだ。「ああああ、マユ姉、マユ姉!」

「龍くん! あ、あたし、も、もう……」真雪の身体が小さく震え始めた。

 

「で、出る、出るよ! マユ姉っ!」ぐううっ! 龍が喉の奥から呻くような声を出した。その瞬間、彼の身体の奥から湧き上がった熱い真雪への想いが、激流のように迸り出た。

「あああああっ!」真雪も大きく仰け反り、身体を激しく痙攣させた。

 龍は真雪に倒れ込み、腕を背中に回して強く抱きしめた。「んんっ! んっ!」びくんびくんと龍の腰が何度も跳ね上がった。真雪はその動きを受け止めながらがくがくと身体を揺すった。

「龍くん! 龍くんっ!」

「マ、マユ姉っ!」

 

 はあはあはあはあ……。二人は身体を重ね合わせたまま、まだ激しく荒い呼吸を繰り返していた。それはいつもに増して収まるのに時間がかかっていた。

「ま、真雪、」

「龍、」

「す、すごかった……」

「ど、どうしたんだろ。あたし、なんだか強烈だったよ。感じ方が」

「お、俺も……。ずっとイってた。君の中で。まだ熱い、熱いよ、俺……」

「あたしもだよ。ものすごい快感の波が押し寄せてきて、まだ身体の中で渦巻いてる」

「真雪っ!」龍はまた真雪の口を自分のそれで塞ぎ、舌を、唇を吸い、舐めながら二つの乳房を揉みしだいた。「んんんっ!」真雪も呻きながらその熱い龍の唇や舌を捉え、激しく味わった。

 はあっ! 口を離した二人は大きな息を吐いた。

「ああ、りゅ、龍、龍っ!」

 龍はいきなりまた腰を激しく動かし始めた。

「あっ、あっ! ああああっ!」真雪は激しく身体を波打たせ始めた。「やだ、また、またあたし、来ちゃう!」

「真雪、真雪真雪っ!」龍の動きが激しさを増した。「好きだ! 真雪! 君を、君を愛してる! 真雪いっ!」

「龍、龍龍龍龍っ! あ、あたしもあなたが大好きっ! 離さないで! 愛してる!」

 びくびくびくっ! 二人の身体が同時に大きくベッド上で跳ね上がった。

 お互いへの想いの激しい流れが、再び二人の身体中を駆け巡った。